騒がしい春の協奏曲(四月)
第一章 小問集合(order a la carte)
第五話 バカとテストと機関銃
[2/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
試召戦争では代表がやられると即敗戦となるらしい。
なんだか中世の戦争のように思えるが、生徒たちの召還獣の装備している武器が剣や槍、弓、大鎌だったりするのを考えればあながちはずれてもいないのかもしれない。
とは言え例外もいて、成績不振のFクラスには吉井の樫の棒を始めとし、スコップやバットといった武器じゃない物を装備している者も多くいる。
僕の召還獣の装備がなぜか現代的なのは何かの間違いかと思うほどに。
閑話休題、聞くところによると少し前に廊下の防衛線が崩れかけたようだが、吉井(の社会的生命)を売ることで戦線を保たせることに成功したらしい。
戦況を知らない僕らに解説をしながら、僕と姫路さんを見比べる坂本は明らかに何かを躊躇していた。
「今回の戦いに勝つ為だけならば、お前の数学を投入しさえすればいい。そのとき正面からの強襲でも九割はこっちが勝つだろうだろう。」
そこでいったん区切り、僕の方に向き直った。
つまり、
「姫路さんの成績はA、Bのクラスならば既に知っているでしょう。しかし私の点数を相手はまだ知っていません。私自身が言うには気が引けてしまいますが、隠し玉にするには丁度よいかと。」
先回りをすると坂本は頷いた。
時計に目を向ける、もうすぐ通常の授業が終わるようだ。
このあと、DF以外は各クラスのHRを通してから下校となる。
「とはいえ、そろそろ他のクラスの奴らが帰り始める頃だからな。お前の力を借りるまでもないだろうが……」
「と言うと相応に策が……」
あっ
「波に乗るのですか?」
その言葉に驚いた坂本は何だ、お前もかと言わん顔をしていた。
互いの顔を見合わせて確信する、考えて行き着いた結論はどうも一緒であったのだ。
にやりと唇をゆがめる坂本と、お嬢様というキャラを通すために笑いを深める僕。
「……坂本君も、ですか。」
「……そうか、お前でもそう考えるか。」
「え、え、え?」
訳が分からないと言った様子の姫路さんは試召戦争は正面から戦うという正攻法が先入観としてあるのだろう。
しかし、これはあくまでも戦争という名が冠されているのだから策略だとか戦術だとかも使えということなのだろう。
「その少し前に、渡り廊下の化学勝負で、私と坂本君が渡り廊下で囮を務めれば……」
「そうだな。代表の位置は戦争に参加する生徒すべてに知らされる。つまり俺の突出は最後のあがきと見られるわけだ。その間に姫路は階段の守備部隊と合流、四階を通って他の奴らが作る人波に合わせて何食わぬ顔でDの代表に接近。以上だな。」
そこまで坂本が説明すると姫路さんの疑問も解決したようだ。
「なるほど、ホームルーム直後の人混みを利用するんですね。確かに私ならAクラスの生徒とまだ思われていますから、それを使うんですね。」
納得がいったという風に何度も
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ