第二十四話 麗しき和服その二
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「お酒を飲むことも遊びのうちですが」
「その飲み方がですね」
「間違っても乱れて飲んではなりません」
そうした飲む遊びは駄目だというのだ。
「姿勢を正し花鳥風月を楽しみ若しくはよき友人の方々と談笑しつつ飲むことです」
「溺れることなくですね」
「そうです、そうした遊びをするべきです」
それが正しい酒の飲み方だというのだ。
「乱れ人に害を為す飲み方ではなりません」
「絶対にですね」
「そうです、あってはなりません」
そのことは強く言うのだった。
「よいですね」
「はい、私も気をつけているつもりです」
「ならいいのです」
箸で刺身を綺麗に取り口の中に入れつつだ、老婆は桜に述べた。
「祖母としてそれはお願いしますね」
「わかりました」
「そして学業だが」
四十に入った頃と思われる引き締まっているが温厚な顔立ちのいささか白いものが混ざってきているオールバックの男が言う、老人のそれに負けない位見事な和服を着ている。
「そちらはいつも通りの様だな」
「はい、お父様」
桜はその男性を父と呼んで応えた。
「励んでいます」
「それは何よりだ、しかしだ」
「しかしですね」
「学業だけでなくだ」
それに限らず、というのだ。
「スポーツの方もな」
「テニスですね」
「私の経験からするとだ」
「スポーツをしてこそですね」
「ストレスが発散されてな」
身体を動かし汗を流すことでだ。
「それによって勉強もはかどる」
「だからですね」
「桜もテニスを頑張りなさい」
そして、というのだ。
「そのうえで学業も頑張るのだ」
「わかりました、お父様」
「ただね。桜さんは本当にね」
また妙齢の美女が言う、心配そうに。
「桜さんは休んで遊ぶこともね」
「しないと駄目ですね」
「そうよ、何でも動き過ぎると身体によくないから」
「だから時には」
「よく寝ることもね」
睡眠もというのだ。
「大事なのよ」
「睡眠はよく取っているつもりなので」
「ならいいけれど」
「はい、寝ないと」
桜にしてもというのだ。
「私はもたないので」
「そういえば桜お姉様ってね」
「そうよね」
ここで桜より年下の二人の少女が顔を見合わせて御飯を食べながら話す。二人共それぞれ桜と違うタイプだが整った容姿だ。黒髪が綺麗で人形の様である。
「一度休まれたら」
「もう起きられないのよね、朝まで」
「私達と一緒に寝ていた時も」
「そうだったわね」
「眠りは深いです」
自分でも言う桜だった、その睡眠のことを。
「そのお陰でよく寝られます」
「それは何より」
祖父が桜のその言葉を聞いて頷く。
「寝ることだ、毎日な」
「深く長くですね」
「禅宗の様なことは言わない」
禅宗の僧侶は
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