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藤村士郎が征く
第4話 衛宮邸に足を運ぶお客は変わり者ばかり
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「なぁああ!?なんでさ!!?」

 説明しよう。
 この肌黒イケメン学生、葵冬馬は様々な女性と肌を重ねてきたのだが、その中には男性もいたのだ。
 最初はノーマルだった葵冬馬も、ある日を境に男とも嬉々として肌を重ねたがるようになったのだ。

 「トーマ、いくらなんでも今からシロ兄ぃを狙うのは如何かと思うのだぁ!」
 「いえ、昔からですよ?ユキ」
 「え?」
 「そもそも私も最初はノーマルだったのですが、ある方にお会いした時から男性にも興味を持ってしまったんですよ」
 「・・・そのある方がシロ兄ぃって事なの?」
 「ええ、そうです。士郎さんに人目お会いしてから正体不明のとある衝動に駆られるようになったんですよ!最初はこの衝動に戸惑いましたが士郎さんに会うたびに強くなっていき、私は士郎さんに抱かれたいのだと気づいたんです!!!」
 「・・・・・・・」

 熱の籠ったあんまりの冬馬のカミングアウトに、士郎は後ずさった。

 「ですから本当に残念ですよ。ジャンヌさんと言う強力なライバルが居ては勝目を薄いでしょうしね」

 そのセリフと共にこの一帯の空気がどんよりとした。
 その空気を掻き消そうと何時もはやりたい放題の小雪が立ち上がる。

 「そ、そう言えばあの部屋は何なのだ?」
 「ぅんむ、ん?あーー、あの部屋か・・」

 小雪が指をさしたところに赤い扉がある一角が有った。

 「そういえばそうですね。最初はありませんでしたが何時の間にか出来ていましたけど、さほど興味を持てなかったのであえて聞かなかったんですが何なんです?あの部屋は」

 そこに、空気をどんよりさせた張本人も乗ってきた。

 「あの部屋は激辛好きの客専用の部屋なのさ」
 「専用部屋を作る必要があるんですよ。あまりの辛さに士郎自身、爆弾処理班が切る防護服を少しコンパクトにした専用の服を着て調理してますからね。勿論、厨房も専用に区切ってあります」
 「そんな服を着てよく調理できますね」

 「大丈夫ですよ、葵君。何といっても士郎ですから」

 葵冬馬の求めている正確かつ詳しい返答とは言い難いが、あっていると言えるであろう。

 どの様な精神状況・環境でも洗練された動きと腕で、熟し捌いていく家事スキル。
 何時でも紳士の心がけ・心構えを忘れない執事スキル。
 これらを踏まえた上での以前の世界で培われた《完璧なる執事(パーフェクトサーヴァント)》たるランクEXは伊達では無いのだから。

 更には、かの某英雄王により「我が宝物に加えるに相応しい」と言わしめたほど故に。

 「それでも部屋を区切るほどなんて、どれ位辛いの?」
 「・・・人によっては阿鼻叫喚化するかもしれないが、取り敢えず人間は死なない」
 「・・・え“!
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