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魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Epos45-A空翔ける騎士/蘇る闇の欠片〜Fragments〜
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界へと跳んだ。アースラからの指示に従い、無人世界の空をひとり翔ける。そして、「あれか・・・」視界内に人影を収めた。
かつての我らの主であったオーディンと交友関係にあった、シュトゥラの王子――クラウス殿下と同じ碧銀の髪。高町と相対していた映像を見せてもらったが、なかなかの格闘技術だった。
「(しかし映像で観た時のあの者とは、髪型や雰囲気が違うが・・・)確か・・・覇王流、と言っていたな」
覇王イングヴァルトとして後世に伝えられたクラウス殿下が生み出した流派、カイザーアーツ。
時を超えてクラウス殿下の血族と戦う日が来るとはな。人生とは実に判らぬものだ。私は「そこの者。ハイディ・E・S・イングヴァルトだな・・・?」と声を掛ける。その娘がゆっくりとこちらへと振り返り、「貴方は確か、守護騎士・烈火の将・・・」私のことをそう呼んだ。
「っ。その二つ名で私を呼ぶとは。やはりクラウス殿下の血筋か」
オーディンはバンヘルドとの決戦を前に、クラウス殿下らに我らの正体を告げたと言っていた。それがあの娘の代にまで語り継がれていたのであれば、まぁ知っていてもおかしくはない。シュテルンベルク家に我らの絵画やエリーゼ卿の日記が残っていたくらいだ。あり得る話だろう。
「守護騎士ヴォルケンリッター・烈火の将、そしてグラオベン・オルデンの剣の騎士としての貴方とは一度、お手合わせをお願いしたいと思っていました。ですので、今ここで一槍つけて頂きたいのですが」
構えを取るイングヴァルト。私は“レヴァンティン”を鞘より抜き放ち、「ああ。望むところだ」と応じる。
「守護騎士ヴォルケンリッターが将、シグナム。そして、炎の魔剣レヴァンティン」
「真正古代ベルカ・覇王流カイザーアーツ、ハイディ・E・S・イングヴァルト」
「参る」「参ります」
互いに一足飛びで最接近。イングヴァルトが間合いに入った事で“レヴァンティン”を横薙ぎに振るう。あの娘は“レヴァンティン”の刀身を真下から殴り上げることで、「ほう」私の一撃を妨害した。刀身の腹が下に向いているからこそ出来る迎撃法だな。
逸らし上げられた“レヴァンティン”を持つ右手を戻すより早く、「はぁっ!」左手に持つ鞘で、「断空拳!」イングヴァルトの繰り出して来ていた右拳を防御。鞘に拳が打ち付けられたと同時に鞘を左へ払う。振るわれる鞘に沿ってあの娘の右腕も外に向かって流された。
「っ!」
「せいッ!」
ここで“レヴァンティン”を降りおろし、「ぅぐっ!」イングヴァルトの左肩を斬る、ではなく打つ。よろけたこの娘の意識を刈り取るために頭部に向かって鞘を振るうと、「まだ、です・・・!」魔力を集中させた右腕を構えることで鞘の打撃を防ぎ、「覇王・・・!」左拳を強く握り締めた。
「させん!」
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