3部分:第三章
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タとワインも」
「そうだよ。その二つが揃ったのはね」
お互い好きだというのだ。
「パスタとワインが好きだから」
「心が通じ合ってなのかしら」
「何かさ、こんな話あったよね」
正好は今度は鍋の中のパスタを捌いていた。そうしてそれによりパスタがくっついてしまうのを防いでいた。そのうえでソースの用意にもかかっていた。
「あれは時計と櫛だったけれど」
「私達はあれね。パスタとワイン」
希は希でワインのコルクを抜いている。そうしてグラスにそのワインを注いでいた。ガラスのグラスにワインがかかってそのうえでグラスを紅く染めていた。
「何か全然違うわね」
「いいじゃない。そこにあるのは同じなんだから」
正好はこう言うのだった。
「そうじゃない?僕希ちゃんに食べてもらいたかったし」
「私は正好君に」
実は二人共一人だけだったならばここまで凝らなかったのである。一人ならもっと質素に済ませることがいつもだったりする。もっと安く手早く作られるパスタにそれと安いワインでだ。
「飲んでもらいたかったから」
「そういうことだね。じゃあ茹で終わったよ」
「ええ」
「ソースもできたし。後はね」
「そうね。食べましょう」
もう向かい合った席にそれぞれワインを置いている希だった。正好は出していた皿の上にパスタを入れていく。もうソースを絡めていて真っ黒になっているパスタをだ。
「二人でね」
「ええ、二人でね」
笑顔で言い合う二人だった。そうしてそのうえでワインを飲みパスタを食べる。二人で飲み食いするワインもパスタも実に美味かった。それは一人で食べるよりも遥かに美味いものだった。
ふと思い立つと 完
2009・5・11
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