第一部 学園都市篇
断章 アカシャ年代記《Akashick-record》
??.----・error:『Nyarlathotep』V
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四位《メルトダウナー》と言えど、やはり最大の暗部勢力である『スクール』を敵に回すのは避けたいらしい。怒り心頭でも、そのくらいの判断がつくのは有り難い。
嚆矢の言葉に、舌打ちしながら髪を掻き上げて。一応、怒りは収まったらしく、離后から引ったくるようにパソコンを受け取って。
「だが、テメェら三人にはケジメは付けて貰う。この任務を達成できなかったら、分かってるよにゃあ?」
いつものように、巫山戯ながら。しかし、眼だけは怒気を孕んで据わったままで。沈利は、嚆矢とフレンダ、最愛の三人に新たな指示を下したのだった。
………………
…………
……
篠突く夕立が上がり、夏の暑さに早々と水蒸気が溢れた空に虹が掛かる。それを眺める人々は、足下の水溜まりを踏み散らして。
現在時刻、十八時。フレンダと最愛を引き連れ、駅前広場の雑踏を歩きながら煙草を吹かす彼。濡れ鼠の体と服は既に近くのネットカフェとコインランドリーで乾かし、万能細胞をダブルのスーツ、ロングコートとして纏い、黒い性悪猫の姿となった嚆矢である。
『いやぁ、流石に死ぬかと思ったニャア。恥ずかしながらオイラ、漏らす五秒前だったナーゴ』
ヘラヘラと、けらけらと。先程までの死地に次ぐ死地を掻い潜り、万色の紫煙を撒き散らして。戯けるように、周囲の雑踏より頭一つ背の高い彼は背後の二人に向き直る。
周りからは、文字通りに煙たがられて。しかし、その余りに異様な風体に、誰も口には出さず。
「結局、生きた心地しなかった訳よ……」
「超ここまでかと思いました……」
がっくりと肩を落とし、九死に一生を得た安堵で溜め息を吐いた二人を。
「大体ね、アンタ、麦野に意見するとか正気? 結局、現代アート風味の面白オブジェになりたい訳?!」
『んな訳ないニャア、オイラ、人のままで居たいナーゴ』
「人じゃなくて、超猫ですけどね」
つかつかと、自慢だと話していた脚線美でもって、フレンダが金髪と白いミニスカートを揺らしながら詰め寄る。すわ痴話喧嘩かと衆目を集めるも、我関せずとばかりに距離を取って口を挟む最愛。
『兎も角、今回ちゃんと任務を熟せば不問になるしニャア。頑張ってこうナーゴ』
「アンタが仕切ってんじゃない訳よ、新入りの分際で!」
『ンニャ?! フ、フレンダちゃん、膝は痛いニャアゴ!』
意外に鋭いローキックをフレンダに叩き込まれ、膝を抱えて跳ねる嚆矢。やはり周りは、迷惑そうに、しかし誰も口には出さず。蚊帳の外で最愛が、沈利からの指示を諳じる。
「『非人道的人体実験の摘発』、ですか……超白々しい上に、超キナ臭い任務ですね」
フードの奥から、鋭い眼差しで茜色に染まり始めた西の空を見
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