彼と女と唐突と
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そして、素っ裸の大男の時と同じように、彼の視界が光で塗りつぶされて―――――
「――――ん、・・・ちゃん・・・カッちゃん!」
「・・・う、ん?」
「何時まで寝てるの? 夕ご飯出来たよ」
「ハル姉・・・ああ、今行く」
春恋の声で目を覚ます。
(あの大男は誰なのか・・・何故力を知っているのか・・・言いたい事は山ほどあるが・・・今は力の使い方だな)
そして、食卓へ向かいながらも、食卓で食べながらも、夢の言葉の意味を考えるのだった。
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すっかり日が暮れ暗くなった野外。生徒は皆寮内へ帰って、辺りには人も居なくなり、フクロウの鳴き声が響くのみ。
そんな日の落ちた時間のある寮の屋根の上に、コダマは座っていた。
「来たか」
彼女が閉じていた目を開けて上を見ると、他人には見えないがコダマには確かに見える、小人が三人彼女の元へ飛んで来ている。
「お嬢! 戻ったぜ!」
「調べてきましたー」
「課せられた任は終わったぞ」
「よくやった、苦労掛けたな。・・・カグヅチ、イカヅチ、ノヅチ」
髪の毛が炎の様な赤い小人、髪の毛が尖った白い小人、ただ一人の女の小人はコダマの近くまで寄り、まずノヅチと呼ばれた女の小人が調べ物の結果を口にする。
「外からの侵入者さん達はもういなくなられたようで、姿も反応もありませんでした」
「へっ、どうやら『カミガリ』の連中、外からは諦めちまったようだな」
「学園長さんのお陰ですかね?」
「だが油断ならない。既に内部まで潜伏し終えている者が居る可能性もあるからな」
「うむ、その通りじゃ。新入生など特にいい隠れ蓑になるじゃろうて」
そこまで言うと顔を険しくし、コダマは脳裏にある一人の人物を思い浮かべる。それは、入学式の時には確かに胸に紋があり、宿敵だと思って警戒したのに何時の間にか、コダマは血の騒ぎを感じなくなっていた、謎の“破壊”の力を持つ男・大山海童だ。
「まずは身近な奴から確かめるべきか・・・仇成す敵か、寄り添える味方か―――我が仇敵かを」
もう用は無くなったか、コダマはカグヅチ、イカヅチ、ノヅチを連れて屋根から飛び降りる。
外は本当に無人となった。
さて一方、夕飯を終えリラックスタイムに入っている海童達はと言うと、ちょっと遅めのデザートタイムか、食卓でケーキをぱくついていた。
ケーキはテーブル上に二つしか無く、今席をはずしているコダマの分は冷蔵庫の中にでもあるのだろうかと、この光景だけを見
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