第6章 流されて異界
第101話 深淵をのぞく者は……
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けどね。
まして、仮にそんな人間が近寄って来たトコロで、不思議な事に関しては興味度MAXのあんたは兎も角、長門さんや万結が近くに寄せ付ける訳はありませんし。
ただ、何にしても……。
「俺とオマエさんの出会いは、もしかすると本当に偶然なのかも知れない。せやけど、俺とその他の人間。さつきにしても、長門さんにしても、朝比奈さん、弓月さんも。すべて偶然に二月十四日から始まる一週間の間に出会った、などと言う事が信じられるのか」
俺が、似非関西弁を操る普通の男子高校生ではない事を知って居るオマエが。
まして偶然、十二月に成って全員が同じ場所に集まっている状態に成って居る。
最後の部分は流石にこの場で口にする事は出来ませんでしたが、それでも彼女にはこの言葉の意味が伝わると思います。
……いや、もしかすると朝比奈さんや、弓月さんにも意味が伝わる可能性が有るのですが。
彼女らが俺と出会った経緯を、俺が想像して居るよりも深く思い出していたら。
例えば、がしゃどくろとの戦いの部分までも彼女が思い出していたとしたら……。
例えば、ハルヒが世界の改変を開始した際の異界化現象を、彼女が思い出していたとしたのなら……。
もっとも、ハルヒと俺の出会いも、ゲルマニアの皇太子の言葉を信じるのなら、何モノかの意図した結果に因って必然的に出会わされた、……と考えるべきなのでしょうが。
この二月の出会いに何が有ったのか。本当の意味で理解する事が俺には出来ない以上、下手をすると世界が完全に書き換えられかねないこの五月の事件や、俺たちに都合の良い歴史……クトゥルフの邪神が書き換えた歴史を、もう一度、自分たちの作り出した歴史の流れ。世界が滅びる事のない歴史に戻す作業の中心――実動部隊の中心に俺が存在する意味を知る事は出来ません。
普通に考えるのなら俺や長門さんを実働部隊の中心になどせずとも、もっと能力の高い龍将たちがこの世界には居たはず。
しかし、現実にはすべての事件解決に俺や長門さんが中心と成って当たった以上、能力の高さ以外のプラスアルファの部分が俺や長門さんには有って、それが穏便に事件を解決する為には必要だと、水晶宮の長史が判断したのでしょう。
「何よ。それじゃあまるで……」
まるで……の後、言い淀むハルヒ。まるで魔法のよう、と言いたかったのか、それとも何か別の不思議パワーの事を言いたかったのかは不明ですが。
ただ、
「この世界はオマエさんが思って居るよりは少し不思議に溢れている。ただ、それだけの事」
ハルヒがどのレベルでこの世界の不思議の事を認識しているのか判りませんが、彼女の立って居る場所は表と裏の境界線。おそらく、朝比奈さんや弓月さんも同じ場所に立って居ると思
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