騒がしい春の協奏曲(四月)
第一章 小問集合(order a la carte)
第四話 バカと鼻血と乙女の事情
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っている島田さんのスカートが僅かに捲れ下着が見えそうになっている。
ロングスカートを注文してくれたことに思わず、頭の下がった。
ぴきんっと何かが起動したような音が鳴ったかと思うと、島田さんの影が大きくなっていた。
いや、足下でカメラを構えた状態で高速移動を開始したムッツリーニがシャッターチャンスを今か今かと待ちかまえていた。
あまりにもその動きが素早すぎて残像が出来ているかのようで……
そして、彼に絶大なる機会は来た。
少しだけ風が強くなり、島田さんのスカートの裾がさっきまでより少し大きめに舞い上がって
「っっっっっく。」
ムッツリーニの鼻から吹き出た赤い滴もまた、青い空を舞ったのだった。
「ムッツリーニ!!!!」
明久の叫び声が屋上に広がる。突き抜けるような空に彼の声は吸い込まれていく。
何処から突っ込めばいいのだろう、秀吉君の方に目を向けると何かを諦めたように首を振られてしまった。
今まで味わったことのない間の抜けた空気に、半ば呆然としながら僕は昼休みを過ごした。
昼休みが終わり次第、試召戦争が始まるというのに。
私はどうすればいいのだろう。
あのとき熱を出していたにも関わらず、倒れてしまうぎりぎりまで頑張っていた彼女はFクラスに居るであろう。
一度は顔を合わせるべきだろうか、いや合わせたい。
例え彼女にとって、心配して声をかけてくれた一人の生徒と言う認識であったとしても。
相談したいことがたくさんある。
テストの時、座席が隣だったから少し見えてしまったのだ。
彼女がとてつもないテンポで問題を消化していくのを。
だから、きっと、私が悩んで、悩んで袋小路に入り込んでしまっているこの状況も打破してくれるのではないかと思ってしまう。
別に引け目を感じるいわれはない。
しかし、仮にもクラス代表に選ばれてしまったからには友達づきあいといっても今はFクラスの人間とは接触すべきではない。
Dクラスへの宣戦布告、彼女の実力を垣間見た私なら、戦争の結果は想像に難くない。
Fクラスの勝利という結果。
打倒Aクラスを掲げた彼らの事だ、そうなればその次の目標は私の所か、本命のAクラス、そして。
「彼氏が居るクラス……か。」
自嘲気味に低く笑う彼女を宥める者はいない。
「千早さん、私はどうすればいいの?」
制服をいじりながら、彼女は悩んでいた。
クラスメイトたちの声を遠くに聞きながら、彼女の思いは旧校舎へと向かっていた。
そう呟く彼女はテストの日に千早が着ていたのと同じ真新しい制服姿であった。
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