御前が嫌いだ
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せる事が出来る程大人ではなかった。
「・・・・・・こんな所で何するんだよ。喧嘩なら部室で思いっきり出来るだろ」
「喧嘩?違うわよ」
千里はそう言うと少しずつ歩み寄ってきた。
「じゃあ何なんだよ」
「えっとね・・・・・・」
千里の顔が急に赤らんできた。
もう裕二と触れそうな位置にまで来た。じっと彼の顔を見上げている。
「ど、どうしたんだよ・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
裕二に抱き付いた。不意に抱きつかれバランスを崩す。
「うわっ・・・・・・」
押し倒される形となる。幸い下がマットだったので痛くはなかった。
「お、おい・・・・・・」
何か言おうとした。だがそれより前に彼の口は千里の唇で塞がれてしまった。
「ん・・・・・・・・・」
千里は瞳を閉じていた。両腕で裕二を抱き締めている。
唇を離した。その瞳はもう濡れている。
「お、おい村岡・・・・・・」
いつもの喧嘩の時の文句を言おうとする。だが千里の濡れた瞳を見てそれは言えなかった。
「じっとしてて・・・・・・」
セーラーの紅いスカーフを外した。そして裕二の制服のボタンを一つずつ外していく。
どれだけ時間が過ぎただろうか。一瞬だったかもしれないし何時間も経ったかもしれない。二人は服を着ていた。
「・・・いきなり何するんだよ」
裕二がトランクスとシャツを着つつ言った。
「何でも言う事聞くって言ったじゃない」
千里はセーラーの上を着つつ言った。まだ顔を赤らめている。
「そりゃあそうだけれど・・・」
口ごもってしまった。
「だけどいきなりこんな・・・・・・」
ズボンを履き上着を着る。
「嫌だったの?」
再びスカーフを締めた。
「そうじゃないけど」
ボタンを締めていく。
「じゃあ何で?」
裕二の顔を見て尋ねる。普段からは信じられない気弱そうな顔である。余程心配なようだ。
「えっ、それは・・・・・・」
その顔を見てひるんだ。喉にまで出掛かっていた言葉が言えなくなった。
しかし言った。言わずにはいられなかった。
「・・・・・・初めてだったんだ」
千里から視線を外して言った。目を見ては言えなかった。
「・・・・・・あたしもよ」
千里も視線を外して言った。
「え・・・・・・」
その言葉を聞いて呆然としてしまった。目が点になった。
「う、嘘だろ・・・・・・・・・」
千里は返事をしない。ただ俯いて顔を赤らめている。
「そ、それじゃあ・・・・・・」
「・・・・・・ええ。あんたがあたしの初めての・・・・・・・・・」
こちらに顔を向けよ
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