御前が嫌いだ
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御前が嫌いだ
「何よ、言いたい事があるんなら早く言いなさいよ!」
「なっ・・・、何だよその言い方!」
今日もクラスで喧嘩が行われている。喧嘩をしているのは一組の男女である。佐藤裕二と村岡千里、この中学では知らぬ者のいない犬猿の仲の二人である。
元々この二人は家も近所で幼馴染みだった。幼稚園の頃からの付き合いでよく一緒に遊んだ。小学校でも何故かいつも同じクラスで一緒に登下校したりしていた。
それが変わったのは小学四年の頃からだ。急に千里が裕二を嫌いはじめたのだ。
元々千里は活発で元気のいい娘だった。男の子と喧嘩しても負けなかった。スカートを捲った相手を逆に蹴り飛ばした事すらある。脚も早く体育は得意中の得意だった。飛び箱も駆け足も得意だった。スイミングスクールに通い水泳も上手だった。
それに対し裕二は大人しい子だった。元々身体が強くなく喧嘩も弱かった。苛められているのを千里に助けてもらってばかりだった。本が好きで勉強が得意だった。千里に教える事も多かった。
そんな二人だったが急に千里が裕二に意地悪をしだしたのだ。無視したり教科書やハンカチを取り上げたりした。
最初は一方的に苛められているだけだった裕二も反撃するようになった。女にやられては男として申し訳が立たないと思ったのであろうか。
そうして二人は顔を見合わせれば喧嘩をするようになった。いつも千里が先に口を出し裕二が言い返す。小学校の時はそれでしょっちゅう取っ組み合いの喧嘩になった。今は流石にそういうことは無いがやはり喧嘩は絶えない。
千里は水泳部に所属している。クロールの選手だ。背はあまり大きくはないが日に焼けて小麦色の顔はわりかし整っており黒いショートカットがよく似合う。胸は小さいがスラリとした身体をしている。水泳向きの体型と言える。
裕二は背はそれなりにあるがあまり筋肉は無い。全体的にひょろりとしており色も白い。髪は真中で分けている。顔は悪くはない。どちらかというと裕二の方が女の子に見える。どういう訳か千里のいる水泳部のマネージャーをしている。これは中学に入ったら何か部活をしてみようと考え水泳部のマネージャーに志願した。運動は苦手だが見るのは好きだった。特に水泳が好きだったからだ。
だがそこに千里もいた。プールサイドで会った途端に喧嘩になった。他の部員に制止されその場は収まったがこれからが不安で仕様がなかった。
実はこの時も同じクラスだった。入学式が終わってすぐ喧嘩になった。思えば小学校の六年間いつも同じクラスであった。
二年になっても同じクラスだった。クラスでも部活でも喧嘩ばかりしていた。裕二のやる事にいちいち文句をつけて来るのだ。彼はそれが鬱陶しくて仕方がなかった。
「何で
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