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ソードアート・オンライン ≪黒死病の叙事詩≫
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ない男プレイヤーを探して見つかるとは思えない。

 悪態をつきながら俺はフレンドとの合流を諦め、泣き喚く群集どもに背を向け、街の外――死地――へ向かって歩き出した。

 もう俺の中には、さっきまで膨れ上がっていた不安は綺麗サッパリなくなっていた。
 代わりに自信なら、ある。
 生き残る自信なんかじゃない。勝ち残る自信だ。
 俺はかつて何タイトルものMMORPGやプレイヤースキル重視のRTSをやってきて、どのタイトルでもそれなりに名を残したことがある。
 俺が攻略に駆り出さなければいったい誰が攻略をするというのだ。これは一種の使命感、動かなければ、戦わなければという使命感だ。

 セオリーも知っている。
 引き際も知っている。
 テンプレートも知っている。
 効率も知っている。

 俺は勝ち残る智慧と、技術がある。知識だけなら元βテスターには劣るかもしれないが、≪無知の有利≫も、俺は知っている。



 夕焼けが沈み、紫の空から濃紺の空へと変わり移ってゆく。
 空は暗くなり、街灯に明かりが灯る。それは中世風で瀟洒な雰囲気のこの街と相まって、とても美しかった。
 中央の広場から歩いて離れて行くと、段々と嘆きの声は遠のき、歩くたびに鳴る石畳の心地いい音だけが残った。

 リアリティのある、音だった。



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