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退学
4部分:第四章
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それを言われて憮然とした顔を作ってきた。
「ったくよお、何で俺ってこうも軽く思われてるのかね」
「だって不良だし」
 麻奈美は笑ってそう述べた。
「いつもの態度がそんなのだからね」
「ちぇっ」
 そう言われると面白くないのが人情だ。口を尖らせる。
「まあいいさ」
 けれどその不機嫌をすぐになおすことにした。
「とにかくな、これで駄目ならまた考えて」
「アルバイトもう一個増やせるかしら」
「ああ、それは止めとけ」
「どうして?」
「今でもきついのにこれ以上入れたら成績が悪くなりそうだ」
「学校の勉強のこと?」
「そうさ。入れるっつったら真夜中しかねえだろ」
「いえ、土日にも」
「あっ、それがあったか」
 これは良太も見落としていた。
「そういえばそうだった」
「そこでもバイトすればどうかしら」
「ああ、それいいな。あといいスーパー紹介してやるよ」
「安売りの?」
「学校の側のあのスーパーだよ。あそこはよく安売りやってるぜ」
「何でそんなの知ってるの?」
「決まってるだろ。そこでいつも酒のつまみ買ってるからだよ」
 実にわかりやすい理由であった。
「それでだよ」
「ふうん、そうだったんだ」
「特価とか多いからな。それで」
「ええ」
「あと通学の定期もな。半年分買って」
「あっ、それはもういいの」
「自転車にでもするのか?」
「うん、マクドナルドもそれで行けるし」
「じゃあそっちはそれでいいな」
「ええ、それでいけるわ」
「何かどんどん切り詰めていってるな」
「だってそうじゃないと」
 麻奈美は首を傾げさせた。
「やっていけないから」
「そうだよなあ。とりあえず高校はこれで凌いで」
「やってみる。それでいいよね」
「ああ、頑張れよ」
 良太は声をかけた。


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