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無欠の刃
下忍編
植え付ける
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と笑う男の姿が瞬時にその場から離れたのをとらえながら、カトナは首を押さえつつ、気力だけで保っていた体から力を抜く。
 指が、木から離れる。
 すぐさま、支えを失った体は地面に倒れ込んだ。
 ばんっ、と衝撃が体を襲うが、それ以上の痛みが全身を貫く。
 このままでは駄目だと集めたチャクラが、すぐさま呪印の元に収束し、激痛が全身を這いまわり、目から涙が溢れかけた。
 いたいと、声にならない、かすれた吐息が漏れ出る。
 それでも、カトナは二人の元に向かおうと、地面を這う。
 爪に土が入り、地面に食い込ませた指が医師に触れる。
 痛い、痛い痛い痛い。
 変化の術を行使し続けているカトナの体に刻まれた呪印は、変化の術を維持する僅かなチャクラをも吸い上げ、カトナの体を苦しめる。
 あっという間に、カトナのチャクラが搾り取られる。それどころか、封印術にまで干渉し、九尾のチャクラをも吸いだそうとしている。
 はやく、はやく。
 さすけが、さすけが。
 さすけ。
 脳裏に思い浮かぶ傷だらけの彼を、センボンが突き刺さってまるでハリネズミのようになった彼を、自分を抱きしめた彼が自分のもとに崩れ落ちてきたときのことを、思い出す。
 もう、二度と。
 必死に這いあがって、なんとか近くの木によりかかりながらも、周りを見渡そうとした彼女の耳が声をとらえる。

 「先輩!?」

 聞きなれたその声に、カトナは大木にもたれつつも、声が聞こえた方向を見る。こちらを見て驚いた顔をした少年は、あわててカトナの方に駆け寄ってくる。
 なんでここにと、目を見開いたカトナは、小さく、その名前を呼んだ。

 「な、ら?」

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