暁 〜小説投稿サイト〜
無欠の刃
下忍編
植え付ける
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 チャクラの量は少ない。
 変化の術を解けば、ある程度のチャクラは得れるが、しかし、それはこの人間の前で弱点を晒すという事だ。どう考えても得策ではない。
 九尾のチャクラを引き出すのも得策ではない。木の葉の監視下だ。この前はカカシから三代目に報告されただろうが、ちゃんと統制したことも伝えられていた筈だし、任務も成功した。
 だからそこまで問題はないが、身近で起きれば、彼らはきっと文句を言ってくるだろう。
 なるべく出さないように。非常用にとっておくことにしようと、そこまで思考した時、カトナはひらりと横に踏み出した。
 瞬間、大蛇丸の口から勢いよく剣が、カトナの方向に飛んでいく。
 紙一重で、口から飛び出た剣を薙刀で弾いたカトナは、薙刀を構えなおす。
 隙のないそれに、大蛇丸は何も言わず目を細める。
 カトナは小さく息を吐きながら、目の前の男の立ち振る舞いを見て警戒する。隙を見せている様で、呼吸一つにも目立った隙はない。どこからどこまでも洗練された雰囲気は、何を言わずとも、彼が強者であることを察させた。それでも逃げない自分に違和感を持たず、カトナは薙刀を掴む力を強める。
 暫しの間、どちらとも何も言わずにらみ合い、動かない。
 じりじりと後退しながらも、相手を伺っていたカトナの耳が、それを聞きとがめる。

「…サスケ君の元に、早くいきたいんだけどねぇ」
「さすっ、け?」

 その声に、カトナの胸がどくりと痛む。明らかな隙に、大蛇丸の体がすぐさま動き、カトナの襟首が掴まれると共に、大木にがんっと押し付けられる。

 「そう、サスケ君。そういえば、あなたの班員だったわねぇ…。ねぇ、サスケ君の場所を教えてくれないかしら? そうしたら、」

 逃がしてあげるわよ?

 その言葉にカトナの目が座る。ぎらぎらとした、殺気が込められる。
 その言葉はカトナが弱者であるからといわれている様で、カトナは負け犬だと言われている様で、カトナが仲間を売るようなただの屑だと思われている様で、酷く苛立つ。
 苛立って苛立って苛立って、むかついて、歯ぎしりを繰り返す。

 それに、何よりも。 

 「…ふざけるな」

 カトナの脳に血が走る。
 逆鱗に触れられ、呆気なく、感情が暴発する。
 噛みしめた歯が、砕ける。
 握りしめた手に、突き刺さる爪が痛い。
 けれど、カトナの脳はそれを知覚しない。
 怒りが胸を焼く。
 体が熱く、息が荒い。
 それを体感しながらも、カトナは目の前の男を睨み付け、怒鳴った。

 「ふざっ、けるな!!」

 瞬間、赤のチャクラが辺りに這いだす。
 荒々しいチャクラの所為で焼き尽くされていく。豪火の思いが、全てを燃やし尽くしていく。

 「彼奴は、私の幼馴染だ!! あいつは私の仲
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ