そして、彼女は
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ピーが答える。
アイツ炎吸収して厄介だったんだ、と悪態づくナツは放置しておこう。少し可哀想な気もするが、今はそれどころではない。
「で、エルザさんは誰を?」
「災厄の道化の“紅刀”ムサシだ」
答えたエルザの表情がどこか悲しげなのがアランには気になったが、下手に聞くと辛いのだろうと判断し、何も聞かないでいる事にした。
「パラゴーネ、塔の中の十二宮の数は?」
「私を含め5人だ」
「とりあえず3人倒れたのは確実か…あと2人はどうなんだろうな」
実は既に“処女宮”フラウはサルディアが、“磨羯宮”シェヴルはクロスが倒したのだが、それを知る術は彼等にはない。
ここにいる全員が頭を捻らせていると、パラゴーネが呟いた。
「……1人だ」
「え?」
「あと1人、塔の中にいる」
「!」
全員が―――――普段驚いても眉を上げるだけのヴィーテルシアも、目を見開く。
知る術が無いはずの残り人数を、パラゴーネはまるで最初から解っていたかのように呟いた。扉に張り付くような術式を見て、ポツリと続ける。
「……謝罪する、師匠」
「は?」
「実は…私は嚆矢から、残存人頭を解釈していた。血塗れの欲望に所属する為か、残存人頭が術式の上から浮揚するように、目視可能だったんだ」
最初から残り人数を知っていた。目に見えていた―――――そう、パラゴーネは言った。
でも、だったら何でグレイ達にそれを伝えなかった?一時的にせよ彼等は仲間であり、見えていたのなら悩む必要だって無かったのに。
「見えてた?……じゃあ、何で言わなかった?」
「述べたくなかった。……どうしても」
エルザの問いに、後ろへと歩きながらパラゴーネは答える。
ナツ達から離れくるりとこちらを向いたパラゴーネは、冷たい光を紅蓮の瞳に宿していた。ギルドを襲撃に来た時と同じ、何とも思っていない冷酷な光を。
先ほどまでの怯えや素直さは、欠片も見えなかった。
「何で……何でだよ!間に合わなかったらどうなるか、パラゴーネも知ってたよね!?なのに何で!何で隠してたの!?」
ルーの言葉に、パラゴーネは答えない。
ただ俯いているだけの彼女に、ルーは震える声で続ける。
「敵なの?…最初から、僕達の足止めが目的だったの!?」
「否定する」
「じゃあなんで教えてくれなかったの!?」
「……」
答えない。
何で、と呟くルーに目を向けたグレイが、パラゴーネに声を掛ける。
「パラゴーネ、答えてくれ。どうして隠してた?」
「師匠……」
顔を上げたパラゴーネは、戸惑うように瞳を揺らす。そんな彼女を真っ直ぐに見つめるグレイの視線に耐えられなくなったのか、パラゴーネは再び俯
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