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Element Magic Trinity
そして、彼女は
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(私がなんて答えるか、解ってて聞いてるんだろうなあ)

ミラの答えなんて、最初から決まっていた。
それ以外の答えなんて最初から持っていない。あったとしても、それを答える気はない。
危険を承知で誰かを助けに行くのがアルカで、そんな彼に恋をしたのがミラなのだ。いつだって、危険に飛び込む背中を見ている事しか出来なかった。
今、やっと隣に並べるチャンスがある。それを掴まずに逃すなんて、したくない。




「解った。私が、アルカのワガママに付き合うよ」




言うと同時に、差し伸べられた手を包み込むように握る。
その言葉に、アルカは安堵の息を吐いた。
空いた左手で髪をぐしゃぐしゃと掻き回したアルカは心底嬉しそうに笑うと、ミラの左手を握る。

「後悔は?」
「ないよ」
「途中棄権は?」
「しない」
「何があっても?」
「文句は言わないよ、私が自分で選んだんだから」
「完璧。さっすがオレの愛する女」

ニッと笑う。それに応じるように、ミラも微笑む。
そして、2人は合図も無しに目を閉じた。

「!」

ドッ!と体中に熱い魔力が流れ込む。それと同時にミラの両手からアルカの両手が消えていく感覚。
ぐるぐると回るように全身を駆け巡った魔力がミラに力を与え―――――殻を破ったかのように、周囲を包んでいた熱風が吹き飛ばされた気がした。
閉じていた目をゆっくりと開くと、ミラの前にアルカはいない。

「アルカ……」
《何だ?》
「!」

心細くなって名を呼ぶと、脳内に響くように彼の声がした。
慌てて周囲を見回すが、いるのはアルカにそっくりなエストだけ。念話ではないだろうし一体どこから、とミラが思っていると、再び声が聞こえる。

《よく解んないけどさ、どうやら会話出来るっぽい。聞こえてんだろ?》
「うん、聞こえる」
《オレが元人間だからかもしれねえな……そうだ、変なトコとかねえか?オレからじゃ見えねえ》

言われて、自分の全身を初めて見てみる。
裾がボロボロになった紅蓮のドレスに漆黒のブーツ、手首にはブレスレットのように炎が輪を作っていて、銀髪はいつもと変わらず前髪を結えて他をおろしたままだ。うねうねと動く太い尻尾の先には炎が灯っている。
他の悪魔に比べて人間らしさが多く残っているのは、アルカの影響だろうか。

「変なトコはないよ、いつもより人間っぽさが多く残ってるけど」
《あー…オレの影響だな、それ。あ、忘れるトコだった。記憶の問題か、炎しか操れない。土やら砂やらはどうにも出来ねえんだ》
「解った」

頷いて、前を見据える。
こちらを眺めていたエストはミラの目に宿る闘志に気づいたのか、杖をくるりと回してから構えた。ボッ!と至近距離で音がして視線を背中に向けると、大
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