そして、彼女は
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…ぶわーって映像が流れていくみたいな、そんな感じに記憶が戻ってきた。お前等がオレの為にって封じた記憶のうち、半分は戻って来てる」
「……そんな」
今にも崩れ落ちそうな体を必死に杖で支えるエスト。
その目が信じられない、信じたくない、と訴えているようで、アルカは思わず目を逸らした。
「アルカ…何の話?記憶が封じられたって……」
話が見えなくて、ミラが問う。エストはその言葉の意味を理解して崩れ落ちそうになっているが、何も知らない側からするとアルカが捨て子だった事しか解らない。
だから何でアルカを接収する、という結論に至るのか、ミラには全く解らないのだ。
「…仕方ねーか、これしか方法もないし」
ふぅ、とアルカは息を吐いた。
そして、いつもと変わらない調子で、呟く。
「オレが悪魔に改造された記憶。お前等はそれを封じただろ?」
何を言っているのか、解らなかった。
悪魔に改造された?アルカが?有り得ない。だって彼は人間で、面白い物が大好きな至って普通の人間でしかなくて、それ以外の何者でもないはずなのに。
「悪…魔……?どういう事?アルカが悪魔って」
「悪ィが、オレも全てを思い出した訳じゃねえ。悪魔になっちまった事は覚えてるが、誰にどこで改造されたのかは封じられてる。その気になれば制御を解除して悪魔としての力や姿になる事も出来るが、オレもその時の自分の姿がどんななのかは知らない」
自分の掌を見つめながら、アルカが答える。
悪魔であると知ったのは4年前。そこから4年、自分がどうなるかを確かめるのが怖かったのだろう。興味本位で確かめて取り返しのつかない事になったら、ギルドに戻れなくなってしまったら。それを考えた結果、アルカは確かめられずにここまで来た。
「だからハッキリ言って、ちゃんと接収が出来るのかも解らない。確かにオレは悪魔だが、生粋の悪魔じゃないからな。元は人間だから、何かしらの影響はあると思う。更に言うと、その影響がオレに及ぶかお前に及ぶかも解らねえ。もしかしたら両方に何かあるかも知れない」
不安要素は大きい。アルカの言う“影響”が小さいものならいいが、もし大きなものだったら?視力を失う事や腕を失う事だったりしたら、それは影響なんて言葉じゃ済まされない。しかも、その影響が2人のどっちに及ぶのかも解らない。もしもアルカが何かを失ってしまったら、と思うとミラは寒気を抑えられなかった。
それに、ミラの不安はまだある。
「ねえアルカ…この戦いが終わったら、アルカはちゃんと戻ってくるよね?私に接収されたままお別れ、なんて…
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