暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
そして、彼女は
[5/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
…ぶわーって映像が流れていくみたいな、そんな感じに記憶が戻ってきた。お前等がオレの為にって封じた記憶のうち、半分は戻って来てる」
「……そんな」

今にも崩れ落ちそうな体を必死に杖で支えるエスト。
その目が信じられない、信じたくない、と訴えているようで、アルカは思わず目を逸らした。

「アルカ…何の話?記憶が封じられたって……」

話が見えなくて、ミラが問う。エストはその言葉の意味を理解して崩れ落ちそうになっているが、何も知らない側からするとアルカが捨て子だった事しか解らない。
だから何でアルカを接収(テイクオーバー)する、という結論に至るのか、ミラには全く解らないのだ。

「…仕方ねーか、これしか方法もないし」

ふぅ、とアルカは息を吐いた。
そして、いつもと変わらない調子で、呟く。






「オレが()()()()()()()()記憶。お前等はそれを封じただろ?」






何を言っているのか、解らなかった。
悪魔に改造された?アルカが?有り得ない。だって彼は人間で、面白い物が大好きな至って普通の人間でしかなくて、それ以外の何者でもないはずなのに。

「悪…魔……?どういう事?アルカが悪魔って」
「悪ィが、オレも全てを思い出した訳じゃねえ。悪魔になっちまった事は覚えてるが、誰にどこで改造されたのかは封じられてる。その気になれば制御(リミッター)を解除して悪魔としての力や姿になる事も出来るが、オレもその時の自分の姿がどんななのかは知らない」

自分の掌を見つめながら、アルカが答える。
悪魔であると知ったのは4年前。そこから4年、自分がどうなるかを確かめるのが怖かったのだろう。興味本位で確かめて取り返しのつかない事になったら、ギルドに戻れなくなってしまったら。それを考えた結果、アルカは確かめられずにここまで来た。

「だからハッキリ言って、ちゃんと接収(テイクオーバー)が出来るのかも解らない。確かにオレは悪魔だが、生粋の悪魔じゃないからな。元は人間だから、何かしらの影響はあると思う。更に言うと、その影響がオレに及ぶかお前に及ぶかも解らねえ。もしかしたら両方に何かあるかも知れない」

不安要素は大きい。アルカの言う“影響”が小さいものならいいが、もし大きなものだったら?視力を失う事や腕を失う事だったりしたら、それは影響なんて言葉じゃ済まされない。しかも、その影響が2人のどっちに及ぶのかも解らない。もしもアルカが何かを失ってしまったら、と思うとミラは寒気を抑えられなかった。
それに、ミラの不安はまだある。

「ねえアルカ…この戦いが終わったら、アルカはちゃんと戻ってくるよね?私に接収(テイクオーバー)されたままお別れ、なんて…
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ