そして、彼女は
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的な場所であり、すぐそこに敵がいる(放置されているエストは困ったような表情である)。そして、アルカは言った。
「オレを、接収するんだ、ミラ」
意味が解らなかった。
確かにミラの魔法は接収。対象者の体を乗っ取り自分の肉体にその力を還元する魔法だ。が、だからと言って何でもかんでも接収出来る訳ではない。
例えば、弟エルフマンは獣専門だし、ミラ本人は悪魔に限定される。だからどうやったって、ミラはアルカを接収する事が出来ない。
彼は、人間として生まれ人間として19年間生き続けている、正真正銘人間なのだから。
「何言ってるの?私はアルカを接収なんて出来ないよ。だってアルカは」
「出来るんだよ、それが」
人間でしょ?と続けようとして、遮られる。
ミラを離しエストへと向き直ったアルカは、ふぅ、と短く息を吐いた。その表情は真剣で、黒いつり気味の目には決意が揺らめいている。
「……!まさか」
「その“まさか”さ。お前が1番望んでなかった結果だよ」
その言葉に、エストはよろよろと後ずさった。呻きながら額に手を当て、信じられない、と小さく呟く。つー…と頬を汗が伝い、少し力を込めて押せば砕けてしまいそうな脆さが目に見えた。
「お前はどうやら、オレに一定の記憶を封じる魔法をかけた。だけどな、当時5歳のオレにかけた魔法が、19にもなった今でも効果を発揮してる訳ねーだろ。今じゃほんの少し…どこで“こう”なっちまったかとか以外ははっきり覚えてる」
トントン、と自分の米神辺りを右人差し指でつつきながら語るアルカ。
それを聞いたエストは震え、俯き、「なんて事だ」と呟いた。
唯一話が見えないミラがくいっとアルカのジャケットの裾を引っ張ると、アルカはきょとんとした表情で振り返る。が、すぐにミラの言いたい事に気づいたようで、無言のまま頷いた。
「…14年前、オレが妖精の尻尾に加入する5年前の事だ。アイツとシグリット、姉貴はオレを捨てて家を出ていった。そっからオレはじーちゃんばーちゃん家で暮らして、ギルドに入った訳だ」
知らない話だった。聞かされた事も、聞いた事もない過去だった。
アルカがあまり家族の事を話したがらない事にはなんとなく気づいていたし、その話題になると適当な理由を付けて輪を外れる事が多く、ミラは自分から聞く事だけはしないと決めていたから。
だからアルカに姉がいる事を知ったのは2年前、姉が死んだからと墓を建てたアルカに付き添って墓参りをした時だし、両親の事に至っては何にも聞いていないし、聞いた事もない。
「それから10年くらい経った頃かな……確か今から4年前だ。何か1日中頭が痛くて家にいたら、こう
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