2部分:第二章
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いの?」
「まあはっきり言えばそうだな」
それは彼自身も認めた。
「それでもな。何て言うかな」
「心配だっていうの?」
「ああ」
彼は答えた。
「クラスメイトだしな。それに御前だって本当はどうなんだよ」
「どうなんだよって」
顔を見下ろしている良太の顔を逆に見上げた。
「やめたくないんじゃねえのか?」
良太は問うた。
「どうなんだ、そこんとこ」
「そりゃやめたくはないわよ」
麻奈美は素直にそれは認めた。口を波の字にしてであるが。
「けれど。仕方ないじゃない」
次には顔を俯けさせた。
「事情が事情なんだからさ」
「あのな」
良太は顔を俯けさせた麻奈美に対して言った。
「やめるだけが解決の方法じゃないだろ」
「じゃあどうしろっていうのよ」
きっとして顔をあげてきた。その顔は心なしか少し涙が出ていた。
「学校行きながら働くってこともできるだろ」
「それは真っ先に考えたわよ」
麻奈美はそう言い返す。
「けど・・・・・・駄目なのよ」
すぐにまた涙目になった声もそうなった。
「やっぱり・・・・・・私が働かないと」
「先生には言ったのか?」
「まだ」
麻奈美は答えた。
「だって・・・・・・言うのが怖いし。だから」
「馬鹿か、御前」
良太は話を聞いていていい加減呆れてきた。
「自分一人で勝手に悩んで苦しんでるだけじゃねえか。そんなのでどうするんだよ」
「どうするって」
「ええと」
廊下の時計を見る。三時半だ。授業は終わったが先生はまだ職員室にいる時間だ。
「今から行くぞ」
「何処によ」
「職員室だよ。決まってるだろ」
彼は言った。
「別に行くことなんてないわよ」
麻奈美はそれに従おうとしない。
「だって行く時はやめる時だから」
「あのな、人の話聞けよ」
良太はたまりかねてこう言った。
「そんなのだったら何にもならねえだろ。だから聞け」
「来いっていのの?それで」
「そうだよ。ほら、行くぞ」
手を掴んで無理にでも引っ張る。
「いいな」
「わかったわ。行けばいいんでしょ」
麻奈美も良太のあまりの強引さに辟易して頷いた。
「行けば」
「わかってるならいいんだよ。じゃあ行くぜ」
「ええ」
二人は職員室へ向かった。そしてそこで担任の吉村先生と会うのであった。
「おっ、宇山か」
担任の吉村先生は中年の男の人である。丸い顔に小さい目をしたいつも赤い顔の先生だ。担当科目は体育で大抵はジャージ姿である。今日もそうであった。
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