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日向の兎
1部
8話
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クラを纏わせての蹴りや掴みからの投げ技など型にとらわれない戦い方を加えてきた。
まだまだ荒削りではあるもののこういった変化は好ましい。
そもそも親父殿がハナビにやらせている型の反復練習というのは最も重要でありながら、最も難しい鍛錬だ。千手やうちはが暴れまわる戦争を経て発展した日向の柔拳の型というのは、長年の積み重ねによりあらゆる状況、あらゆる敵に対して有効であるよう研磨された最適解とでもいうものである。
が、その鍛錬は極単純な動きを何度も繰り返すというものでしかない。いや、この世のあらゆる物が単純な物事を幾度も繰り返すことで学ぶのだから、それは柔拳に限ったことではないか。
まぁいい、反復練習の効果は周りから見ればよく分かるのだが、やっている本人はその効果を実感するのは非常に難しい。
では、どうするか?一度視点を変えさせるのだ。型に嵌らぬ自由な動きをある程度させ、その上で再び再び型の動きをさせる。そうすれば以前までは気付かなかった発見があり、各々の型の動きの意味を理解することができる。
加えて型に嵌らぬ動きをすることで柔軟な発想を得る事ができ、それは様々な点において役立つだろう。創意工夫というののまた一朝一夕で身に付くものでもないからな。





「あ、姉上……今日はどうですか?」
ふむ、今日は頭突きだったわけだが……余り慣れていないようでぶつけ所を誤り、私よりハナビの方が悶える事になっていた。いや、意表を突くのは結構だが、身長差を考えるべきだぞ?
無理やり跳躍してまでやるとは思わなかった……正直、割と私も痛かった。
「まぁいい、驚いた事は確かだし及第点はくれてやろう。少し待っていろ、ハナビ」
私はハナビを置いて、離れの冷蔵庫から作っておいたバナナミルクを取り出してコップに注いで、期待に満ちた瞳で此方を見る彼女に手渡す。すると彼女はコップを両手で持ち大事そうに飲み始めたんだが……なんというかその様子はクルミを盗られないように齧るリスのようだ。
「ヒジリ様、お時間よろしいですか?」
む、折角私が和んでいる最中に……相変わらず空気の読めん男め。
「なんだ、ネジ」
「先ほど、アカデミーからこのような手紙が」
「なになに……他学年との交流戦?なぜ私にこんな物を渡すのだ?お前が出ればいいじゃないか、天才だろ君は」
「貴女に言われても嫌味以外の何物でもありませんよ。大体、俺が出ようにも貴女の方が成績は上じゃないですか」
「……むぅ、ネジよ何故体術勝負で私に負けるのだ。あれさえなければ君がトップだったろうに」
「貴女にどうやって体術勝負で勝てって言うんですか!?無茶を言わないでください!!」
「そう怒鳴るな……大体、そんな事親父殿が許しを出す訳が無いだろ?親父殿の意向を無視して、折角手に入れたそれなりの
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