暁 〜小説投稿サイト〜
【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第百一幕 「緊急事態だよ?全員集合!」
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
もできると思いあがって様々な事に手を出したが、兄と相対して喧嘩した瞬間に全てが勘違いだったと悟った。現実を思い知らされたとも言えるかもしれない。

だから出来る努力をし、論理的に考えて出来ない事は出来ないと断じて取捨選択してきた。出来ない事をできると叫んでもがくより、出来る努力を積み重ねることが先決だ。いきなり兄のようになろうとしたって、そこに到る積み重ねがなければ全ては砂上の楼閣だ。そう思って、出来る努力で無茶をしてきた。

それが間違っている?

命の賭け時、勝負時くらいは選べると、兄の前では言った。だが、そもそも相手が絶対的に優位に立っていたのならば、自分にそれを選ぶ権利が存在するのだろうか?弱者は死に場所を選ぶことさえできない、とどこかで聞いたことがある。それはすなわち力への屈服だ。強い相手に追いつこうとしても、追い付く前に潰されては意味がない。

(僕は、兄さんを、越えられない――?)

兄の前で言って見せたあの覚悟は、薄っぺらいベニヤ板か。
追い付けると言い張っていたくせに。
今は負けを認めるとか言っていたくせに。
本当は、自分は勝てないだろうって心の底でたかをくくって――


「……かぷっ」
「ひゃあぁッ!?」

その思考は、突如ユウの耳に甘噛みを敢行した簪の英断によって一時中断された。
ちなみに甘噛みの理由は、「これなら痛くないだろう」というちゃんと考えたのだか考えていないのだかよく分からないものだったりする。どっちにしろユウにとって未知の感覚だったのが功を奏し、ユウは思考迷宮からの一時的な脱出に成功した。

「……かぷかぷかみかみ」
「ちょ、えっ!?何!?誰!?何っ!?」

漸く正気に戻ったユウだが、簪は後ろから掴みかかって耳をかみかみしているため自分に未知の触感を与えている物の正体が全く分かっていない。それどころか噛まれるたびに身体をビクンと跳ねさせ「うひゃっ!?」とか「ふわっ!?」とかそのくすぐったさに悲鳴を上げている始末。当の簪は今まで返事を返してくれなかったことにご立腹らしく、思う存分ユウの耳を甘噛みしている。

これによって簪は、ユウは耳が弱点という兄でさえ知らない情報を手に入れることになったのであった。




おまけ


「……む、ユウが何やら思い悩んでいる気がする」

3機のゴーレムを早々に片づけたジョウが突然口を開いたと思ったら、出た台詞がこれである。
決着に時間はほとんどかからなかった。反応の鈍った一機をそのまま八つ裂きにしたジョウと夏黄櫨は、そのまま最後の一機と戦闘を開始。撃墜された2機のデータをもとに急激に機動が良くなった3機目だったが、保ったのは十数秒だった。その3機目の頭部は現在進行形でハルバードの先端に突き刺さっている。

その恐る
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ