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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第百一幕 「緊急事態だよ?全員集合!」
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て意識を失ったらしい。確かに言われてみれば撃たれるまでの事は記憶にある。撃たれた後の記憶は――何かがあったような気がするのだが、思い出せなかった。
あの時、俺が油断をしなければ――と一夏は歯噛みする。そうすれば後ろに控えていたシャルとラウラでどうにか出来たかもしれない。性能差があっても数の上では5対2だ。勝算はあった筈だ。だがそんな一夏を慰めるように箒は首を横に振る。
「お前が悪いとはだれも思っていないさ。予想外の事が起こり過ぎた……それに、私たちが出撃した後に別の場所でも事件が起きていたのだ。いずれにせよ仕切り直しは免れなかっただろう」
「別の事件……?」
「それは旅館に戻ってから改めて織斑先生の説明を受けましょう。本土が見えてきました」
ベルーナ誘拐事件。
アンノウン襲撃とゴスペルの暴走。
そしてこれから明らかになる、残間結章襲撃事件。
全ての事件を解決するために、関係者一同は旅館へと集っていった。
= =
そっと、赤く腫れあがった頬に湿布を張ってあげる。内出血で痛々しく腫れあがったその部分には触れる事さえ
憚
(
はばか
)
られたが、放っておくほうが見ていてつらい。当人は沈んだ顔で自分の拳――表皮が抉れて出血したために消毒して包帯を巻いたその拳をじっと見るばかりで、半ば放心状態にあるようにも見える。
「痛く、ない?」
「…………」
「…………」
質問しても、さっきからずっとこの調子だ。こちらの声に気付いているのかも分からないそれは、まるで普段見かける彼とは――ユウとは別の人間であるかのようだ。普段の彼は快活で、生真面目で、時々負けず嫌いで、そして優しい少年。なのに、今のユウにはその面影が無かった。
見回りに行ったはずのユウがいつまでも戻ってこないことを気にした簪は、同じく見回りをしていた鈴と共に旅館内を再捜索していた。その途中で、中庭に力なく項垂れるユウを発見したのだ。名前を呼んでも返事を返さず、その目からは涙を零した後があった。近づいてみるとその服があちこちが乱れ、顔も体も大喧嘩をしたように傷だらけの痛々しい姿になっていたときは軽く悲鳴を上げてしまったものだ。
急いで手当をしようとISのパワーアシストで手近な部屋に運び込み、拡張領域内に入れてあった緊急医療キットを取り出して治療に入り、今に至る。恐らく服の中にも打撲痕や傷があるだろう。そのためには服を脱いでもらわなければいけない。なのにユウは返事を返さない。
一体何があったのか。
どうしてユウは何も喋らないのか。
何故こんなにボロボロになっているのか。
誰かに襲われた可能性を考慮すると、放っては置けない。既に鈴とは連絡を取って、彼女は先に先生の方へと報告しに行っている。今は唯でさえ緊急事態なのだ。
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