彼と歓迎会・・・と黒い影
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成り組み付かれて邪魔された不満を隠しもせず言い放つ。
それにちょっとムカついた碓が何か言おうとして、後ろを見てかたまった。
「ぬおおおっ!? クマが俺らの方に来てやがるぅ!?」
「チッ・・・はぁぁ―――」
「「ダメえぇぇーっ!!」」
「うぐっ!? ああもう!」
何も出来ないなら逃げるしかない、海童は碓と共にクマへ背を向けて逃げ出した。気の所為かクマは海童達を狙っているかのように、右へ左へ曲がる彼等をひたすら追っている。
「何で俺らを狙ってんだよこのクマ! 俺が何かしたかよ!」
「知るかそんな事!」
「カイドウ! ケンゴ!」
走りながら喧嘩しているさなか、進路上にいるチャチャが板を持ったまま彼らへとを振って叫んだ。
「ええか! 板伸ばすから上飛び越えや!」
「の、伸ばすって・・・」
「いくでぇ、ウチのマケン! 魔建『コンプレッサー』でのぉ・・・質量の破壊!!」
「板が伸びた!」
「でかくなった!?」
チャチャの右腕にグローブが現れ光った瞬間、細く二十センチほどの長さだった板っきれが、数十倍以上の長さと幅になったのだ。
言われたとおり板を飛び越え、まだ追ってきていたクマを春恋が転ばせて板の上に乗せる。
ニッと笑ったチャチャは、落下しながら踵落としを板の端に決めた。
「そらぁっ!! 後は頼んだでキミー! ・・・そぉれ日本ではおなじみぃ」
「グルルゥ?」
「たーまやーっ!!」
大きくしなった板はシーソーの要領で跳ねあがり、上に乗っていたクマを大きく跳ね飛ばす。
「着地地点に岩が!?」
「きゃあっ!?」
「!?(え? ・・・志那都先輩が“きゃあ”?)」
弧を描いて勢いよく向かう先は、大きな岩の上だった。このままでは怪我どころでは済まない。
「・・・大丈夫だよ・・・怪我は、させない・・・」
すかさずペンの様なマケンであろうそれを取り出した季美は、空中に文字を描き出した。漫画の効果音の様なその文字を、彼女は岩の方へ飛ばす様にペンを振る。
「・・・描き出す効果・・・」
直後、岩に『ポヨーン』と言う文字が浮かび上がり、クマが岩へ勢いよく衝突した途端、普通ならガツンといって砕ける筈なのに、何故だかポヨーンと言う音と共に岩がクッションのように凹んで、クマを見事に受け止めたのだ。
「何でだ? 岩に突っ込んだのにまるでクッションに突っ込んだみてぇな・・・」
「これが、先輩二人のマケンの力か・・・!」
「その通りですわ」
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