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魔王の友を持つ魔王
§61 無能力者ですか? はい、一般人です
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当に良かった。

「寧ろエルの心配を」

「……あぁ!?」

 忘れてた。完全に忘れてた。慌ててエルに念話を飛ばす。もし、こちらがキャンセルされていたら――――

「はい。マスター、どうされました?」

「良かった……!!」

 若干の緊迫感を滲ませつつも、エルが無事な返答をくれたことに安心する。安心しすぎて腰が抜けた。へなへなと倒れ込むがそれをジュワユーズは笑わない。一歩間違えば長年の相棒の死体が完成しているところだっただけに。

「マスター?」

「ん。とりあえず詳しいことは後で説明するから今は軽く。権能が封印された」

「……は?」

 エルの呆けた声。黎斗もその気持ちは痛い程わかる、というかまだこの事実を信じたくない。正直。

「一般人になりました。とりあえずこっちでの処理終わったら連絡する。こっちに集中させて」

 何か言いたそうなエルを無視して強制終了。こちらの用件を済ませないことにはどうしようもない。

「れーとさん、無事?」

 恵那が音も無く着地する。びしょ濡れであるところを見るに、流されたが途中でなんとかしたか。

「とりあえずはね。恵那も無事そうでなにより」

 実際は権能が使えない、などとという無事どころか絶賛大ピンチなのだが。

「他の人たちは?」

「ごめん、わかんない。恵那も水を防ぐのに精いっぱいで、周り見てなかったんだ……」

 黎斗ですらこんな有様なのだから、無事に黎斗に所まで戻ってこれただけでも大したものと言うべきか。普通は他の魔術師のように行方不明になるのがオチだ。

「完膚なきまでの敗北だなぁ。逃げられるは全員飛ばされるわ。……この借りは返さなきゃ、ね」

「れーとさん……」

 ボロボロの身体に活を入れて立ち上がる。

「れーとさん、しっかり」

 ふらふらして、崩れ落ちそうになる身体を恵那が支えてくれる。まさかこんな形で世話になる日がくるとは。

「……我ながら情けない」

「まぁまぁ、黎斗さん少し休んで。神様との連戦だもん。少しくらい恵那を頼って、ね?」

 流石に疲れた。ビアンキ達はわからないが、恵那もエルも、ジュワユーズ達も無事とわかって、安心したのもある。

「ごめん。ちょっと休む。ケータイ……は水没してるから無理か。やべぇ寝てるヒマないぞこりゃ」

 帰れない。こんな中で呑気に寝るわけにはいかない。帰らなければならないのだが、呪力はほぼ底を尽き、電子機器は水没の余波で機能不全。権能封印ときた。

「帰るまでが遠足とは至言だなホント」

「れーとさんどうしたの? 来た時みたいに飛行機呼べばいーじゃん」

「……権能全部使えないんだ今」

「えぇ!?」

「よくわからん能力で
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