騒がしい春の協奏曲(四月)
第一章 小問集合(order a la carte)
第三話 Road to Elysion T (楽園への道1)
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次の日。
朝のSHRは担任の福原先生による諸連絡で終わり、先生の退室とともに教室は再び騒がしくなった。
「千早はこの教室には馴れたの?」
「えっ?えぇそうですね。何とか…と言ったところでしょうか。」
相変わらず席が近い島田さんに笑い返しながら、何でもない話を始めたときだった。
だんっ、と大きな音が教室に響いた。
何かと思い音のした方、すなわち教壇の方にクラス中の目線が集まる。
黒板の前に立ち、クラスを見回している坂本に否応無く注目がそそがれる。
「みんな聞いてくれ、Fクラスの代表として提案がある。俺たちFクラスはAクラスに試験召喚戦争を仕掛けようと思う」
教室のあちらこちらからどよめきが上がる。
興奮からおおぉ、と意気込むもの。自身の成績を慮り大丈夫かと唸るもの、様々な反応が起こる。
(昨日の今日で勝負を挑むなんて無謀な事を…)
「みしっ」だとか机が呻いて、また崩れたりしないだろうか。
福原先生が昨日、木工ボンドで手直ししたのを手伝った身としてはクラスのことよりもそっちの方が気になる。
そんな僕を余所に坂本はクラスでのイニシアチブを握り始める。
「お前たち、このおんぼろ教室に、この状況に不満はないのか?」
「「「大有りだぁ!!!!」」」
「そうだろう、試召戦争で勝つことができればAクラスの豪華な設備だって手に入れることができるんだ。」
教室中が急に提示された希望に目が眩んでいる。
このFクラスのぼろい設備と対比に、Aクラスの設備ではリクライニングシートや個人用の冷蔵庫を始めとし、思いつく限りの贅沢ができると皆は知っていたのだ。
しかし、だ。
「勝てる要素がどこにあるってんだよ…」
「そうだ!姫路さんと妃宮さんがいればいたら何もいらない」
テストの成績順に上位のクラスに順に分けられているのだ。
最下位集団であるFクラスに勝機があると考えるなど普通なら正気ではない。
「いいや、勝てる要素はこのクラスにはある。まずは学年トップクラスの姫路、そして寡黙なる性識者ことムッツリーニ、演劇ホープの木下、そして実力未知数の妃宮だ。もちろん俺も全力を尽くそう。」
力強い代表の言葉に、主戦論派はいよいよ勢いづく。
「おい…確か坂本って小学生の頃神童って言われてなかったか?」
「確かに。なんかやってくれそうな奴だなとは思っていたが」
一挙に開戦すべしとしてムードに教室全体は染まる。
「我々は最下位だ。」
「「応っ!!」」
「学園の底辺だ!」
「「応っ!!」」
「誰からも見向きもされない屑の集まりだ!」
「「応っ!!」」
「それはつまり、何も失うものがないということだ。」
はっと息を飲む音が響きわたる。
この場の空気を坂本がしっかりと掌握したのが僕には解った。
誰もがこの指導者に従ってみようという
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