12話:患部で止まらずイスラエルにトルネードスピン!! 狂喜の佐天涙子
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の体格差はクラッシャーの放ったタックルの威力が物語っていた。
(いける!)
勝利を確信したクラッシャーはさらに攻撃を重ねようと踏み込むが、ここで三度目の不運が彼を襲った。
「ホワア!?」
ズボ、とクラッシャーは崩れた足場にできた穴に見事に嵌まった。
小太り体型の彼はなかなか抜け出せない。
今度こそ殺される、と感じたクラッシャーはやはり向かってくる女に恐怖しながら奇声を発した。
「えい!」
バリバリバリバリバリ、と音がした。
佐天涙子が、襲撃者の女にスタンガンを押し当てた音だった。
クラッシャーは動けなかったが、佐天はスタンガンを取り出す暇があった。それに先ほどとは違い、クラッシャーと女は離れていたからこそ躊躇なくできた。
ただひとつ計算外だったのは、スタンガンの威力だ。
スタンガンを当てられた襲撃者の女は白目を剥いて口を大きく開いて、体全体が、まるで大きく跳ねているようにガクガクと震えていた。当然だが普通のスタンガンではこうはならない。その様子をやはりただ事ではないと感じたのか佐天はスタンガンを襲撃者の女の体から離し、スイッチから指をはずした。
襲撃者の女は崩れ落ちた後も体がビクビク震えていた。
「な、なにが……?」
佐天が思わず漏らした言葉に反応するように一枚の紙切れが風にのって彼女の足元に運ばれる。それは何かの拍子にデイパックから漏れたスタンガンの説明書だった。
『哀川潤のスタンガン
人類最強の請負人哀川潤が使用するスタンガン。リミッターを外した最大出力は絶縁体物質七〇パーセントの衣類ぐらいなら無視して全身を焼き焦がして心臓も止められる威力』
アカン。
佐天はそう思った。下手な銃器よりも強いスタンガンなぞ見たことがない。
「佐天さん、ちょっと手伝ってくれ…自力で抜けられない」
「あ、はい!!」
佐天の協力を得て五分掛かりで穴から這い出るクラッシャー。
中学生の女子が小太りの少年を穴から持ち上げるのはキツかったようで、佐天は荒い呼吸をしながら両手で地面をついていた。
そんな彼女がぜえはあ言ってる間にクラッシャーは襲撃者の女のナイフを回収して自らのデイパックに入れる。続いて女のデイパックを発見し、それを持ち上げて佐天のところに戻る。
「さっきの人のですか?」
「ああ、とりあえずあんたがいるから殺しはしないが武器は奪わせてもらう」
本当を言うとこの場で殺しておきたいクラッシャーだが、自分のスタンスが対主催であることに加え、善良な一般人の女子中学生(しかも武器は強力)の前で人を殺すことのリスクが高いことは彼でも判断できた。
それにスタンガンの性能的に考えて放っておいてもしばらくは
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