暁 〜小説投稿サイト〜
雲は遠くて
58章 信也、バーチャルな下北音楽学校の講師をする
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
58章 信也、バーチャルな下北音楽学校の講師をする
 
 秋も深まる10月の日曜日。
株式会社・モリカワは、外食産業最大手、エターナル(eternal)が
(おこ)した慈善事業、ユニオン・ロックと、業務提携を実現する。

 先日の10月4日、新宿のサウンド・クラブで行われたユニオン・ロックの
オープニング・セレモニーに(まね)かれたモリカワの社長、
森川誠は、エターナルの副社長、新井竜太郎に語った。

「竜さん、この事業は、すばらしいと思いますよ。わたしも、
日本の未来を(にな)う、子どもたちの環境を良くしてゆく、
何か良い方法はないものかと、いつも考えているんです。
竜さんは、広い視野を持っていらっしゃる。
会社も、健全な社会があってこその会社ですからね。
社会に貢献できてこそ、会社も存在意義があるというものです。
モリカワも、ユニオン・ロックに参加したいくらいですよ。
わっはっはは」

 森川誠は、カウンター バーで、カクテルを飲みながら、
愉快そうにわらった。

「社長さん、お褒めいただいて、ありがとうございます。
ぼくの方こそ、社長のビジネスに対する高い視点や
会社の経営哲学などに影響を受けているんです。
森川社長、この際どうでしょう?ユニオン・ロックを、
ご一緒にやってまいりましょうよ、この慈善事業には、
みんなの力を結集させるしかないって思っているんです!」

 バーテンダーにすすめられたカクテルを楽しむ
竜太郎は、言葉を選びながらそういうと、森川誠に微笑む。

「そうだね。竜さん。ユニオン・ロック、一緒にやってゆきましょう。
これはまるで、坂本龍馬が、日本のためにと実現させた、
薩長同盟みたいな感じですよ。爽快ですね。
利益ばかりを追いかけて、競争し合っている場合じゃない、
わっはっは。竜さん、乾杯しましょう!あっはっは」

「ええ、おっしゃる通りだと思います、森川社長、よろしくお願いします。
みんなの力を結集するユニオン・ロックが成功して、
社会に大いに貢献できますように!森川社長、乾杯!」

 そういって、森川誠と目を合わせると、竜太郎は微笑む。

 ふたりが交わした、ユニオン・ロックの業務提携のニュースは、
瞬 く (またたくあいだ)に、サウンド・クラブに集まったみんなに広まって、
新聞や雑誌などのマスコミから世間にも知れ渡る。

 それから数週間後、インターネットのソーシャル・メディア(SNS)の、
ユニオン・ロックで、川口信也たちが講師をする、下北(しもきた)音楽学校の、
中学生以上を対象とする、参加無料の特別公開授業が行われる。

 インターネット上の、バーチャルな下北音楽学校の校長は、
映画音楽、テレビ・ドラマの作曲家
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ