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雲は遠くて
58章 信也、バーチャルな下北音楽学校の講師をする
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ちが、
このかけがえのない美しい地球で、平和に仲良く暮らしてゆくための、
差後の切り札かも知れないと思うのが、ぼくの実感なんです。
さて、3オクターブの歌声を手に入れたいと思う人のためには、
ぼくも、下北(しもきた)音楽学校も、できるかぎりのことをして、
サポートしてまいります。
われわれが(おこ)したユニオン・ロックという慈善事業は、
音楽や芸能を愛する人たちの力になってゆきたい、
そんなことが目的の事業なんです」

 そういうと、会場から、拍手と熱い歓声がわきおこる。

「歌うコツや理論は、インターネットで調べても、
けっこう詳しくわかりますが、高い声で歌うための、基本は、
肩の力を抜いたり、のどや舌も緊張させないようにして、
全身をリラックスさせることがあったりします。
または、腹式呼吸をするように心がけて、お腹に意識を持っていって、
のどの緊張をほぐすこととかもあります。
さらには、響きのよい声、高い声を出すためには、
鼻腔(びくう)口腔(こうくう)などの、共鳴腔をフル活用するなどがあるわけです。
これは、ギターやバイオリンの音が胴体の部分で拡大されるのと同じ原理です。
まあ、声を出すメカニズムが、しっかりできるようになるってことは、
クルマやオートバイの運転に似ていて、いかにスムーズに、
ぎこちなくないように、ギア・チェンジがしっかりできるかってことだと思います。
ですから、簡単ではありませんが、楽しみながらやってゆく、
そんな価値のあることだと感じています。
歌の練習なら、クルマやバイクのように、運転ミスで、事故って、
ケガするとか、命を落とす、そんな心配も無用なんですから、みなさん、
ヴォイス・トレーニングは、気軽に楽しみながら、がんばりましょう!」

 会場からは、大きな拍手と、女子学生たちの明るい歓声がわいた。

≪つづく≫ --- 58章 おわり ---

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