第1部
第8話 戦艦棲姫、観艦式二潜入ス〜其ノ弐〜
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謎の軍艦群が出現、人類を一方的に攻撃し始める。
深海棲艦と名付けられた艦隊群の攻勢により、ユリシーズ事変によって破壊されたシーレーンは復旧出来ず、更には自己修復機能を持つ深海棲艦には現行兵器では歯が立たず、人類は敗北の一途を辿ることとなる。
また、落下したユリシーズの破片群は強い磁気を帯びており、地表に落下した後も電波障害などを引き起こす、戦闘を行うには危険過ぎる地帯となった。
海上における落下地域は特殊作戦地域として指定され、一般兵の間では、無線もレーダーも使えない、上座も下座も無い実力のみが試される円卓≠ニ揶揄されることになる。
今飛行している空域の目の前……大島沿岸から10kmの地点に広がる海域は、世界中にある円卓≠フ1つであり、戦略コード名B7R≠ニ呼ばれる危険地帯なのだ。
どの位飛んだだろうか。
B7Rの周囲を2〜3度旋回し、周辺の磁場強度や深海棲艦の有無を調査する。
近海の戦闘頻度が極端に減った現在では、本来は週1で行う哨戒任務なのだが、観艦式中の今は6時間毎に出動が命じられている。
『でも先輩、殿下のお側を離れて良かったんですか?
悠陽殿下の付人なんですよね?』
「まあね、私も働かないと。
帝国には、……ううん、人類にとって、今が1番大事な時期だからね」
操縦桿を握り締める手に、ほんの少し力が入る。
やっと分断されたシーレーンを復旧出来る所まで来た。
柏木少尉は、自らに課せられた……いや、将兵達に課せられた国民の想いを胸に、お喋りな後輩に檄を飛ばす。
「一等海曹、お喋りはここまで。
周囲警戒を…」
《Warning. It is unidentified reaction detection right above.》
「……ッ??」
警戒システムの突然の警告に、思考が一気に切り替わる。
「本隊直上に動体反応複数検知ッ??
……雲に隠れてた??」
『此方でも確認ッ??
……来ますッ??』
瞬間、彩雲とF-2の間を無数の機銃弾が横切り、真横を黒い何かが下へ通り過ぎた。
「やっぱり深海棲艦……ッ??
スパロー1より各機、直ちに戦線を離脱、鎮守府に連絡をッ??
スパロー2、彩雲の直掩にッ??
私は戦線を引っ掻き回して随時撤退するッ??」
『り、了解ッ??』
彩雲とスパロー2のF-2が反転して鎮守府へ向かう。
柏木少尉は操縦桿を切り、スパロー2と彩雲に追い縋ろうとする敵艦載機に照準を合わせ、引金を引いた。
機体内部に内蔵されたミニガンから発射された銃弾が吸い込まれるように敵艦載機に直撃、蜂の巣にした。
『横須賀鎮守府、此方スパロー2、応答セヨ??
我ガ隊ハ現在、深海棲艦ノ艦載機ト交戦中、敵ハ大部隊ノ可能性アリ??
至急応援
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