第196話 『極悪十祭』
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もショールが身を引いたのは、鼻にツゥ〜ンとくる異臭だった。
ショ「ナツやウェンディ、ガジルだったら一発で気絶だろうな・・・3人共、滅竜魔道士で鼻がいいから・・・・」
そんな事を思いながら、ショールは左手で鼻と口元を覆いもう一度ドムス・フラウの地下に足を踏み入れた。
ドムス・フラウの地下は大小さまざまな岩や石、凸凹道や坂道など足場が悪く、ここでは思うように歩けない。走る事はもちろん不可能だ。
ショ「マヤー!マヤー!ドコだーっ!?」
通路よりも声が辺りに響き渡る。
鼻を摘んでいる為、聞こえる自分の声は妙に高い。
ショ「(確かあの子は、大魔闘演舞優勝ギルドの名を叫ぶと同時に、『極悪十祭』の烽火が打ち上げられるって言ってたよな・・・まだ打ち上げられた様子が無いって事は、大魔闘演舞はまだ終わっていないという事か。あの5人なら、余裕で100ポイントとかGETしてるんだろうな。)」
そんな事を考えながら、ショールは奥へ奥へと進んで行く。
ショ「!」
すると、岩や石などが全く無い広い場所に出た。真上から大勢の人の声が聞こえる。どうやら今ショールが立っている場所の真上が、ドムス・フラウの会場らしい。
その広い場所の中央に巨大な黒い大砲と、暗がりの中でも一際目立つ夕日色が目に留まった。
ショールは滅竜魔道士のように特別視力が優れている訳でも特別視力が悪い訳でもないが、ここからでも間違えるはずがなかった。
ショ「マヤ!」
自信の名を呼ぶ声が聞こえたのか、覚束ない足取りで大砲に向かって歩いていたマヤは足を止めゆっくりとショールを振り返った。マヤのオレンジ色の瞳はやはりハイライトが消え失せていて、どこを見つめているのかはっきりしていなかった。
マヤはすぐに顔を正面に向けると再び覚束ない足取りで大砲に向かって歩き出した。マヤと大砲との距離はもう僅かだった。
ショ「(あの子が言ったとおり、マヤはやっぱり操られてる・・・!)」
だが、ショールが今いる場所からマヤのいる場所まで、ショールが全力疾走しても間に合わない。
ショ「ギアチェンジ!モード風!」
止むを得ず、ショールは両足に風を纏うと小さく地を蹴り駆け出した。すでにマヤは大砲の正面に来ていた。
ショ「マヤァーーーーーーーーッ!」
風のような速さで走りながら、ショールはマヤに向かって右腕を伸ばす。
それに対してマヤはショールの声も姿も、耳にも視界にも入っていないのか、火炎石を握り締めた右手の人差し指の指先に炎を纏った。
ショ「マヤァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!」
ショールの伸ばした右腕がマヤの右肩に触れた瞬間、ショールはマヤを抱き抱えるようにし
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