第196話 『極悪十祭』
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マ「・・ぅん・・・」
フレイの呼び掛けにマヤはか細い声で返事をするだけ。それを見たフレイは一度肩を竦めた後、腕をぶんぶん振り回しているナツに近づくと、
フ「マヤを頼む。」
それだけ呟くと、鳥の姿になって西の方角へ飛んで行った。
ナ「いや・・「頼む」って言われてもなぁ・・・」
頭を掻きながらフレイが飛んで行った方を見つめながらナツは困ったように呟く。
肩越しで後ろにいるマヤを振り返ると、フレイが言ったとおりいつものマヤみたいにテンションがめちゃくちゃ下がっていた。
ナツは元気が無いマヤに歩み寄る。
ナ「どうしたんだマヤ?お前らしくねェぞ。」
顔を伏せているマヤの顔を下から覗き込む。すると、マヤの頬を一筋の涙が伝った。
ナ「!?」
マ「・・ひっ、うぅ・・ゴ、ゴメン・・・ひィ、ぐすん・・」
しゃくり上げながら、涙を拭いながらマヤはナツに向かって謝る。
マ「うっ・・わ、私の・・せいで・・・ふぇっ・・皆に・・うぅ・・・め、迷惑・・掛けて・・・えぐっ・・ゴメン、ね・・・ふぐぅ・・ひっ、ひィ・・・」
拭っても拭っても、溢れ出す涙はマヤの頬を濡らし続ける。
そんなマヤの身体がひょいっと宙に浮かんだ。
マ「ふぇ?」
泣き腫らした目で前を見るとナツの右肩が見えた。マヤの身体はナツの背中に背負われており、ナツはマヤを背負ったまま東に向かって歩いていた。
マ「ちょっ・・ナ、ナツー!下ろしてよーっ!私これでも18歳なんだよっ!ねーナツ!ナツってばァ!」
握り締めた両手の拳でポカポカとナツの背中を叩くが、ナツは一向に下ろしてくれない。それどころか、マヤを支える両手の力が強くなっていく。
マ「・・ねぇナツ、もしかして・・・怒ってる?」
ナ「あぁ。すっげー怒ってる。」
マ「!」
ナツの背中を叩く手を止め、念の為問い掛けてみたら、躊躇なく答えをズバッ!と言われたので内心傷ついた。
ナ「マヤにじゃねェ。“マヤを操って、怪我を負わせて、辛い目に合わせて、泣かせた奴”に怒ってんだ。」
マ「えっ?」
マヤの角度からナツの顔は見えない。だが、ナツがすごく怒っている時の殺気が背中越しでも伝わってきた。
ナ「誰だが知らねェが、俺はぜってェにソイツを許さねェ!」
竜の雄叫びが木霊して、クロッカスの街に響き渡った。
ナ「・・・だから、もう泣くな。」
マ「・・うん。・・・ありがとう。」
一度止まったはずの涙がマヤの頬を伝い流れ落ちた。
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