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滅ぼせし“振動”の力を持って
彼の失敗
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攻撃を重ねて誘っていくアズキ。男子生徒は確かに強いが、如何せん入学したてでまだ駆け引きが甘い。案の定誘い込まれて、勝負を決めるべく突っ込んで来た。



「これで・・・決闘は終いだ!!」
(きたな! 今だ!!)



 アズキは素早く跳び上がる為、男子生徒はインパクトの踏み込みの為、ほぼ同時に地面を力ず良く踏み、決闘の勝敗がきまる・・・・誰もがそう思った、正にその瞬間。



「う、うおおっ!? なっなんだぁ!?」
「ぐ、じ、地震かコレはぁ!?」

「も、も、ももっ、物凄い揺れてますよぅっ!!」
「ぐぬうっ・・・何が起こっとるいきなり!?」
「先輩ーっ!?」
「うるちさん落ち着いて!」
「震度何ぼだよ、コイツはぁ!?」



 地震そのものは数十秒で終わり、揺れている間が短く学園の造りが丈夫な為か、崩れたりする事は無かったものの、生徒の間に不安は走る。

 一先ず決闘を済ませる為に、中央で座り込んでいる二人へ向けて、コダマは問いかけた。


「どうする・・・決闘は止めにするか?」

「いや、続ける。あんたは如何だ?」
「勿論、オイも続ける気はある!」

「分かった・・・では、三回目になるが・・・勝負再開!」

「ぬうん!!」



 それと同時に男子生徒の連撃が決まり、砕かれた地面から濛々と土煙が立ち込めた。何も見えない視界の中、さすが上級生と言うべきかアズキは全て避けており、猛スピードで飛びあがると男子生徒の頭を掴んだ。


「(ぐ、硬化(メタルボディ)!)無駄たい! なんばしても!」
「・・・あ〜、どいつもこいつも―――口数が多い!!」
「ぐほおっ!?」



 顔面に見事な膝蹴りが決まり、男子生徒は仰向けにバタンと倒れ動かなくなる。コダマが確認のために近寄り、手をアズキの方へ掲げた。



「栗傘 塊を戦闘不能と見て・・・勝者! 志那都アズキ!」
「・・・喋ってたら硬質化出来ないだろ、口が。ったく・・・」



 先程の地震での静まり返りが嘘の様に歓声を上げる生徒達。栗傘と呼ばれた生徒が多数の生徒に運ばれているのを見るに、彼等は友達なのだろう。

 腰に手を当てたアズキは、にしても・・・と呟いてから、独り言の様に口にした。



「さっきの地震はなんだったんだろうな? まあ、自然災害なんてどれもイキナリだけどよ」
「物凄い揺れじゃったから震源は近いのであろうが、それにしてはすぐ終わったしの」



 地震の謎が残ったまま春恋とイナホはまずアズキと、途中でうるちとコダマと、最後に友達との約束があったらしい碓と別れて、元のベンチに戻って来ていた。

 すると、数分してからそこへ野暮用が終わったらしい海童が返ってきた
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