彼の失敗
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線を外して、再び春恋の方へ戻す。
「トラブルは近年まで減っていたんだけどね、共学化した今年からは増加傾向となるだろうと予測して、私を部長に本格的な活動を再開する事にしたの。・・・ちなみに、魔導執行部と検警部を合わせて魔導検警機構とも呼ばれるけど、長いからって皆は『マケンキ』と呼んでるわ」
「・・・なるほどな、説明有難う」
その後、もうちょっと簡単に(天日の平和を守る人達云々という話しで)イナホに伝え、他に入れそうな部活も無いしそれにしようかと海童が思った・・・その瞬間。
「ぷはあっ!! ・・・へっへっへ! 何やら面白そうな話、たっぷり聞かせてもらったぜ!」
何時から居たのか、植木から男子生徒が勢いよく飛び出して来た。何処かで見た事があると海童は記憶を探り・・・思い出す。
「ああ、お前は同じクラスの・・・碓だったか」
「え? クラスメイトなの?」
「私は覚えていませんけど、海童様が覚えているなら覚えている事にします!」
「いや、イナホちゃん? それじゃ覚えてないと同義だって」
律儀に言葉と動作でイナホへ突っ込みを入れた男子生徒・碓は、植木から出て改めましてといった感じで、無駄にさわやかな笑顔で握手のつもりか手を差し出した。
「どうも、始めまして。統生会副会長、天谷春恋さん。自分は、一年生の碓健悟といいます。以後お見知りおき・・・をっ!?」
しかし、ワキワキと動いていた指の動きから察するに、どうやら春恋の胸へ手を伸ばそうとしていたらしい。
・・・その手が胸に届く前に、海童が掴んで止めた。
「・・・」ギロリ
「うおっ・・・は、ははは・・・」
腕を強く掴まれ睨まれた碓は、諦めて一歩引く。何やっているんだかと溜息を吐く海童だが、周りの二人は何がなんだかちょっと分かっていない様子。
ともかく、改めて自己紹介をしようと、碓がちょっと身成りを正す。
「ハルコせんぱーい!大変ですーっ!!」
すると・・・遠くから、女子生徒の声が聞こえてきた。サイドテールに小さく括った髪を持つ少女、うるちだ。
流石に態と近付いて海童を跳ね飛ばす何て真似はせず、斬らせていた息をある程度整えてから、慌てて駆け寄ってきた理由を話す。
「どうしたのうるちさん?」
「それが・・・校門前で、決闘が行われようとしていまして」
「ホント? ならすぐに行かなくちゃね・・・姫神さん!! マケンキとしての仕事、お願いしてもよろしいでしょうか!」
唐突に上を向いて春恋は気に向かい声を上げる。その木の太い枝の上に寝転がっていたコダマが、呼んでいた漫画を閉じて溜息を吐いた。
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