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滅ぼせし“振動”の力を持って
彼の失敗
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!?」



 微妙な表情となる玄は頭を掻きながらどうしたもんかと首を捻っている。そんな玄を苦笑して見た後、実は海童へ振り向いた。



「と、言う訳だ・・・時間にして一か月、加減するなり逃げるなりして、何とかしのぎきってくれ」
「は、はい。分かりました」
「では・・・失礼しました!」



 学園長室から海童とイナホが出て行ってから、玄はソファーから立ちあがり煙草をベルトに付いたポーチから取り出す。

 そこからすぐには取り出さず、懐かしげな表情で呟いた。



「あいつが先生の息子か・・・体格もそうだが、何より目元がそっくりだぜ。そんで、隣にいた子が例の『カムド』使いか」
「ああ」
「・・・実よ、俺はな・・・今でもマケンの原型たる八マケンを超えるつもりだぜ。そろそろ模造品なんざ言えなくしてやるってな」
「へえ・・・例え、『神が造った物』だとしても?」
「おうよ」



 言いながら煙草を口に咥えた玄の方を向き、実が彼への確かな信頼感を感じさせる笑みを浮かべる。



「頼むよ玄。・・・あ、そうだ」
「なんだ?」
「ここは禁煙だ。やるなら加えるだけにしな?」



 そう言って実が口に咥えたパイプの様な物を叩くのを見て、玄は忘れていたぜと肩をすくめた。














 身体測定から数日後。

 午前中だけの授業や、エレメントについてのさわりだけ教えてもらい、午後は部活を見て回るようにと組まれた日程の中で、天日学園新入生たちは動いていた。

 自由な校風とは言えども、部活は強制的にはいらなければいけないので、このような時間を設けているのだ。


 ・・・が、破壊にしか使えず手探りで能力を操っているにすぎない海童は、どの部活にも入れず―――というよりも、手から火を出したり力を纏わせて矢を放ったりと、入れたものでは無かったが―――彼に付いて回っているイナホと共に、今日も部活体験を終えたものの何処に入るかを決めなかった。


 そんな彼等は今、傍に植木のあるベンチで一息ついている所だった。



(・・・各々、エレメントやマケンの特性を生かした部活に入っているみたいなんだが・・・俺の力じゃあなぁ)



 軽く肩を落とした海童は、ふと隣でソフトクリームをなめながら座っているイナホを見て、聞きたい事が出来たのか顔を上げて口を開く。



「なあ、イナホ・・・入る部活、決めたのか?」
「私は海童様と同じ部活に入りますです。だから、海童様が決めてください」
「・・・そうか」



 イナホの笑顔に少し気が和らいだか、海童も軽く笑んで猫背だった姿勢を戻す。そして、もう一つ聞きたい事があるの
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