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滅ぼせし“振動”の力を持って
彼の失敗
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「ありえねえ・・・ってか納得いかねぇ」



 昨日来たばかりの学園長室に再び呼び出された海童とイナホは、ヘアバンドを付けた髪色の薄い男性の言葉を聞き、しかし何の言葉も返さず黙っている。

 代わりに反したのは、三人とは違いソファーに座らず机の傍に立っていた、ジャージ姿の実だった。



「残念ながらマジもんの事実よ、(げん)。納得いかなくてもね」
「けどな!」



 玄と呼ばれた男性が、本当に納得いかないといった表情で魔検を軽く叩き、抗議の言葉を実へ掛ける。



「製作当初が十年前とは言え、この魔検(インスペクト)『ケロンボ』は超が三つ付く程の自信作! 後から作ったどの素因(エレメント)測定機よりも優秀なんだぜ!?」
「廃材で作ったのに?」
「天才は材料をえらばねえのよ! それに、今まではおろか今年だって殆どの生徒は測定できたろうが!」


 十年前製作で、しかも廃材で作り上げたもので今まで全ての生徒のエレメントを測ってこれたのなら、確かに天才的で且つ優秀だと分かる・・・が、それでも事実は事実、測定不能者は出てしまっているだ。



「しっかしなんでまた今年に限って三人も出やがるんだか・・・コンニャロ」
「イナホちゃんは元々魔拳(ナックル)持ち、もう一人はアソコから来た奴だからと納得できるとして・・・問題は最後の一人、海童なのよね・・・」



 いやに真剣な様子で悩む二人を疑問に思ったか、海童が訝しげな顔で軽く手を上げる。



「すいませんが・・・エレメント特性ってのを判断できないのは問題なんですか?」

「問題中の大問題だ!」
「超が付くぐらい問題よ!」

「うおっ!?」



 振り向きざまの異口同音を喰らって面喰らってしまう海童。まさかここまで真剣に帰されるとは思っていなかったので、ただ大声を出されるよりもビックリしている。



「それこそ当たり前なぐらい問題に決まってるだろ! 何せ、俺のマケン鍛冶師としての・・・天才としてのプライドが問だふぐっ!?」
「はいはい、アンタのプライドはどーでもいいから。それよりも、もっと問題な事があるでしょ・・・少し毛色が違うけどさ」



 己の問題で納得が行っていなかったらしい玄の口を塞いで強制的に黙らせ、実が少しばかり困った表情で説明し始めた。



「まず最初にマケンを持っていないって事は、イコール授業から遅れるってことだが・・・エレメント関連は兎も角、実技なら何とかなるだろ・・・・・次に、入学式で君がいきなりやらかしたのは勿論覚えているよな?」
「ええ、自分事ですから」
「実はな・・・他の生徒にはお前の力は、絶大な破壊力を持つマケンだと説明して、無理やり納得させてるんだ
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