SS:終わりの思い出(完)
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も忘れんなよ!』
「えー・・・・・・どんなサプライズだこれ」
運ばされた映像データをとある病室で再生していると、何と過去の映像から俺にお呼びがかかった。
そういうサプライズらしい。よく考えたなと感心するが、それにしてももう少し普通に出来なかったのだろうか。
ちらりと医者の倉橋先生を見てみると、笑顔で頷かれた。既に俺が病院内で歌ってもいいように手回ししていたようだ。
しょうがなしにケースの中から使い古したギターを取り出すと、ギャラリーの子たちからおお、と歓声が上がった。
ものすごく変な気分だが、慰問ライブという奴だろうか。
すると、ユウキ――いや木棉季が俺の隣に立った。
ちらりと顔を伺うと、待ってましたと言わんばかりのわくわく顔でこっちを覗き込んできた。ALOで見る姿より痩せているが、その意志の強さはどっちでも一緒らしい。初めて顔を合わせると言うのに隣にいても違和感を感じないのは不思議な感覚だ。
「私も歌っていいよね?」
「ひょっとして練習してたんじゃないか?」
「えへへ・・・ばれた?」
『リズ、準備できたー?』
『おっけー!エギルさん音楽!』
『おいおい、俺は音楽じゃないんだがな・・・三、二、一!』
そのリズムに合わせてギターの弦を弾き、俺は前を見つめた。
期待に胸を膨らませているその子たちは見ていてとても微笑ましく、そして俺の想像もつかないほどの苦しみを乗り越えてきたのだろう。
これは責任重大だな、と苦笑した。
夜空に光る星たちにちっとも現実味が湧かないのは――
他の奴には分かって貰えない孤独が心に引っかかってるからだ――
お前が日常だと思ってた現実なんて――
今日にはもう砕け散って、なくなってるかもしれないんだ――
だったらお前がするのは、無くしものに拘泥するんじゃなくて行動だ――
おまえの生きる世界にもぶち壊せない、おまえの行動をするんだ――
生きてるってのは楽しいよな。美味いとか痛いとか疲れたとか――
すげぇじゃないか俺達、それって全部生きてるから感じるんだぜ――
だから若いうちは、その「生きてる」を求めて走り回るんだ――
だから、邪魔するような下らない奴は殴り飛ばしてやりな――
潰される前に、我ここにありって抵抗するんだ――
それは俺たちの特権だ。お前のやりたい行動をするんだ――
押しつけがましいルールなんて逐一守っていられるか――
モラルもだ。勝手に押し付けるな。学校も塾も何もかも――
そんな邪魔なものは要らないし、そんなお為ごかしが欲しいんじゃない――
欲しいのはリアルだ。真実って奴が分からないから、探しているんだ――
お前らの作った社会
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