SS:終わりの思い出(完)
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アしちまったから、これにてSAO語りは終了だ」
「えー!?もっとないの!?」
「もっとってお前・・・必死で思い出して2か月持たせた俺の身にもなってみろ。これ以上は本当にないっつうの」
そう、このSAO語りを始めてからと言うもの、俺は人に聞かせるような内容の思い出を必死に思い出して喋っていたのだ。毎晩毎晩、どんな思い出があったかを思い出しては紙に書き留めてまでして、それもちょっとずつ小出しにしてなるべく長引かせるために。
とっとと終わらせても良かったものを、あんまりにもユウキが楽しみにするものだから限界まで引き延ばしたのだ。
そして、限界まで伸ばされたゴムは千切れるのが自明の理というものである。
伸ばせば伸ばす程にその反動は大きく、その反動は言うまでもなくユウキに直撃していた。
これ以上を望むのならば、それこそ自分以外に聞く必要があるだろう。
ずぅんと落ち込みながらぼそぼそと「キリトの馬鹿」とか呟くユウキの姿は予め想像できていたが、目の前にしてみると子供を騙したような所在の知れぬ罪悪感がわいてくる。というかキリトに至っては完全にとばっちりである。
しかし、そうしてショックに項垂れているのはほんの短い間だけだった。
すうっと空気を吸い込んで、はぁっと大きくため息をつき、それで彼女の気分に切り替えは終了した。
その切り替えの早さは女性の尊敬すべき点なのかもしれない。
「そっか、終わりかぁ・・・あーあ、なんか寂しいなぁ。毎日毎日これと歌が楽しみで通ってたのに・・・・・・まぁいっか。これでバンドの方に専念できるし!!」
「あー、やっぱりそっちに話を持って行くか・・・」
「インプじゃ駄目?楽器はどの種族でも演奏できるんだからいいじゃん!あ、でも音楽に専念すると冒険の時間がなくなっちゃうなぁ。お兄さん一緒に冒険いかない?」
「無茶言うな!一応呪文の詠唱は出来るがな・・・こちとら攻撃や回避とかは脳の構造的に無理なのっ!」
こっちの世界でも、やはり俺には全く戦いの才能が無いらしい。
呪文の詠唱は出来ても、それをしながら動いたりは無理だ。
よって、やっぱりここでも役立たず。ここまで戦えないと涙も出て来ない。
プレイヤーの話に半分ほどついて行けない悲しみを、このゲームでも背負わなければいけないらしい。
格闘技でも習おうかな、と考えながらじゃれつくユウキに対応する俺であった。
ゲーム内で彼女に本気で襲われたら抵抗も出来ないかもしれない。
= =
ある日、俺は明日奈に頼まれて届け物をしていた。
届ける物はあるデータ。その中には、元SAOメンバーがリアルで集まって作成した映像が納められている、らしい。俺は何故か除け者にされた。
とにかくその光ディスクを指定の相手に見せてきてほし
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