アインクラッド 後編
優しさに包まれて
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。……わたしね、本当は、そんな人じゃなくて……むしろ、逆なんだ」
「逆……って、どういうことなんですか……?」
わたしは一度、うん、と小さく頷く。
「……ずっと、怖かったの。この世界で、独りのままでいることが。だから、できるだけ誰かと一緒にいたくって、他のパーティーに押しかけて……。本当は、他の人のことなんて、これっぽっちも考えてなかった。……でもそれって、ただ自分も皆も騙してるだけで、本当はわたし、ずっと独りのままだった。そのことに気付いたら、この人たちを騙してたんだって思ったら、凄く怖くなって……。今日だって、転移門広場に入った時、シリカちゃんが困ってるからどうにかしないと、って思ったの。でも、気が付いたら人に囲まれてて、わたしのこともバレちゃうって思ったら何もできなくって……ううん、わたしがもっと早くシリカちゃんのところに行けていれば、ピナだって……!」
気が付くと、マップ上に置かれていたはずの右手が左手と一緒にスカートの裾を握り締めていた。
言っちゃった……。怖くなって両目をぎゅっと瞑ると、手の甲に生温い雫が落ちる感触。どれくらいだったろう、下唇を噛みながら震えていると、不意に両手が温かいものに包まれた。
恐る恐る目を開けると、ソファから身を乗り出したシリカちゃんが、真剣な顔でわたしの両手を握っていた。
「エミさんは、いい人です。あたしを、助けてくれたもん」
そして、穏やかに微笑みながら言う。子猫みたいに一瞬体を強張らせたわたしだったが、震えと硬直はシリカちゃんの笑顔と両手の温かさにすうっと吸い込まれて――。
「……ありがとう、シリカちゃん。わたしの方が、慰められちゃったね」
そんな言葉が、わたしの口から漏れていた。わたしの体から力が抜けたことを悟ったのか、シリカちゃんもわたしの手を包む力を少し弱める。
「いいえ、そんな……すみませんでした。あたし、何にも知らなくて……あ、そうだ!」
シリカちゃんは何かを思いついたように立ち上がると、「ちょっと待っててください!」と言い残してバタバタッとドアを開けっぱなしで部屋を出て行った。数分もしないうちにまたバタバタッと戻ってくる。その手には、卵色のケーキが乗ったお皿と湯気を放つカップが一つずつ握られていた。シリカちゃんがその二つをわたしの前に並べると、カップに入っていたコーヒーの香りが鼻腔をくすぐった。
「エミさん、結局晩御飯の時にチーズケーキ食べなかったから。マサキさんと相談して、後で機会があれば、って取っておいたんです。美味しいですから、是非食べてみてください」
「そうだったの……ありがとう」
「いえいえ。ささ、どうぞ!」
笑顔のシリカちゃんに促されるままにわたしが卵色をした扇形の先端部分にフォークを入れると、柔らか
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