第8話〜再会〜
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の使い手なら奥義もあるのだろう?」
「・・・まぁ、あんまり使いたくないけどな」
たった二人で巨大な魔獣をあっさり片付けてしまったため、野盗たちは驚きの声を上げる。
何にせよ、ここで彼らを捕まえれば事件は解決する。さっそくケインが行動に移ろうとしたその時だった。何者かの気配を感じ、身構える。現れたのはケルディックの詰所にいた領邦軍たちだ。彼らの姿を視界に捉えた瞬間、ケインは一目散に駆けた。
「いたぞ・・・ぐあっ・・・!」
「連中も一緒、だあぁっ!」
野盗が失敗しても、この場だけは抑える算段だったのだろう。それに気づいたケインは、彼らを制圧しにかかった。全員を伸したはずだが、隊長がいないことに遅まきながら気づく。背後を見れば、ラウラが銃口を突き付けられていた。
「ラウラ!・・・くっ、あんたらは俺に用があるんじゃないのかよ!?その銃を下ろせ!!」
「フン、随分とご執心のようだな。これ以上、貴様に引っ掻き回されるわけにはいかん。
手を引かぬというならばこの娘共々、容疑者としてバリアハートに送ってもいいが?」
気づけばケインも囲まれていた。数分気絶させたつもりが拙速だったため、浅かったのだろう。万事休すか、と諦めかけていたところで聞き慣れた涼しげな声がする。
灰色の軍服を着た淡いスカイブルーの髪をした女性を筆頭に、複数の兵士が横に立ち並んでいる。帝国正規軍の中でも最精鋭と言われる、T・M・P(Train Military Police)、通称鉄道憲兵隊だ。この地の治安維持については我々が行っていると不満げに声を上げる領邦軍隊長に対し、女性将校は、大陸横断鉄道網の中間地点でもあるこの地においては、自身らにも捜査権が発生するとあくまで冷静に返す。
「そして元締めの方たちを始め、関係者の証言から判断するに・・・こちらの学生さんたちが犯人である可能性はあり得ません。何か意義はおありでしょうか?」
領邦軍隊長は苦虫を噛み潰した表情になりながらも、「特にない」と告げ、残りの兵を率いて撤収した。野盗たちは話が違うなどとぼやいていたが、女性将校の拘束の指示によって憲兵隊の兵士にあっさり取り囲まれてしまう。
「ふふ、お疲れ様でした。帝国軍・鉄道憲兵隊所属、クレア・リーヴェルト大尉です。
・・・ケインの方は久しぶりですね。2か月ぶりくらいですか」
「ご無沙汰しています、クレア大尉。その・・・」
「今は構いませんよ。ただ、調書を取りたいので少々お付き合い願えませんか?」
「・・・了解です。ラウラも、来てくれるか?」
「・・・承知した」
ケインは平生より声のトーンが一段下がっているラウラを気にかけつつ、どこか重たい足取りでケルディックへと戻ることになった。
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