例えばこんな俺は赦されないと思ってただろ
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てるんだって・・・思い出すように浮かんでくる。何度沈めても、気を抜いた瞬間に目の前に現れるんだ」
皆の曇りない笑みを向けられる自分を、どこかで軽蔑している自分。でも同じくらいに笑顔でない人を見るのが嫌いだから、笑顔にさせようとする自分。普段は何も考えずに人の笑顔を求めてる。
でも――オウカを見る度、逃げていた自分と鉢合わせする。母さんとソウを見る度に、過去を思い出す。それは必死で考えまいとしていたジレンマ。気が付いた時には挟まれて、もう抜け出せなくなっていた。
「母さんを受け入れた時・・・・・・すげえ怖かったんだ。何か、全然分からないけど凄く悪いことしてるような気がして。母さんの裸を見てもいっしょに風呂に入ってたから今更気にしては無かったんだけど、あの時は違った。雰囲気か、臭いか・・・とにかく、俺の身体に絡みついてくる母さんが悪いものに憑りつかれてるんじゃないかって思うほどだった」
「あの当時、光子さんは正常ではなかったって本人が言ってたな」
だからこそ、正常に戻って欲しかった。そのために、異常だと思っている行為に文句も抵抗もしなかった。それさえ乗り越えればきっと元に戻ってくれると信じていたから。今になって思えば何の根拠もない思い込みでしかなかった。
「・・・・・・自分が何されてるのか分からなくて、何をやらされてるのかも分からない。でも気持ち良くて、その気持ちいいのがすごく怖かった。母さんに頼まれたからってこんなことをやって、悪い事だとどっかで思ってるのにそこに快楽がある。なんていうかな・・・・・・」
考えるように首を傾げ、一人で得心したように言葉を続けるゴエモン。まるでカウンセリングでもしている気分だ。
「そう、麻薬だ。副作用のない麻薬に一緒に手を出してて、でも『これは本当に使って大丈夫なものなの?』っていう不安がずっと圧し掛かっている感じだった。母さんが『もうやめよう』って言い出した時は・・・・・・その時は、内心でほっとしたんだ。やっと元の母さんに戻ってくれたって」
親による性的虐待は女性のものばかり取り上げられがちだが、実際には男性側のものの方が深刻なトラウマを負うことが多いらしい。その実態は被害者が口を噤んでいるため分からないが、ゴエモンにとっての不幸は、そこで話が終わらなかったことなのだろう。
「ある日さ、母さんが朝ごはんを突然もどしたんだよ。ごめんなさい、なんて俺に謝って来るけど謝られても困る。きっとパートで無茶をしていたんだと思って、大丈夫だって言ってる母さんを引っ張って無理やり病院に。そこで・・・・・・ソウ――宋詞朗のことだけど、とにかく身籠ってるって言われたんだ」
最初は言われてそうなのかとしか思わなかった。でも母の顔色は、つわりとは別に青くなっているような気がした。不思議に思って色
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