後日談
最終話 夢広がる未来へ
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今度こそ本当に、戦いは終わった。
先に紘汰のほうが変身を解いた。
金髪にトーガ姿の紘汰には、咲はまだ慣れなくて戸惑っていたが。
「大きくなったな。咲ちゃん」
その一言と笑顔が、咲の涙腺を壊した。
感極まった咲は変身を解き、紘汰の胸に飛び込んだ。背中にきつく腕を回し、顔を鎧にこすり付ける。
「紘汰くんっ……紘汰くん、紘汰くん、紘汰くんっ!!」
逢いたかった。ずっと逢いたかった。紘汰と逢えない半年間がどれだけ寂しかったか。
甲冑越しにでも、紘汰の体温はあたたかいし、咲を抱き止めた腕の逞しさも変わらなかった。
「うん。やっぱり大きくなってるじゃん」
「そうだよっ。あたしもう、中学生だもん」
「そっか。こっちじゃそのくらい経ったんだな。元気そうでよかった」
頬を流れる水滴を、紘汰の親指がなぞって拭った。
「ねえ。コウガネのことって夢じゃなかったの?」
「俺たちには夢だった。ラピスのユメだった。でも、コウガネや『向こう』の人たちには、本当にあったことだった」
「そっか……」
紘汰の両手が咲から離れる。紘汰は静かに咲から距離を取った。
「行っちゃうの?」
紘汰は少しだけ寂しげな笑顔で応えた。
「行かないで」も「あたしも連れてって」も、言うのは簡単だ。だがそれは室井咲が今日まで積み重ねたものを穢す言葉だ。
今の世界のままでも、人は変われる。幸せな思い出を積み上げていける。そう信じているから咲はこの地球で生きて、証明していく。変わらない世界で人が変わることを。
ヘキサと、リトルスターマインの仲間と、戒斗や光実たちと、一緒に。
だから、問うべきことは――
「一つだけ聞かせて。紘汰くんの惑星は、青い?」
紘汰は目を瞠ったが、すぐにその目を細めて、優しい笑みを湛えた。
「ああ」
その答えだけで、充分だ。
現れた時とは逆に、紘汰の姿は青い光の粒子となって薄れていき、消えた。
「咲ー!」
変身解除した光実と城乃内が、ザックが、凰蓮が、貴虎が、――そしてヘキサと戒斗が、咲の下へ駆けて来る。
やって来る仲間たちに対し、咲もまた走り出した。
“もう、いいんだね? 紘汰”
“ああ。待たせてごめんな、舞”
“じゃあ、帰ろうか。あたしたちの未来へ”
二つの青い光が、地球から飛び立ったことを、人類の誰も知らない。
誰もが過去を乗り越えて、未来へ進もうとしている。
いつかまた争い、傷つけ合うとしても、またやり直す。
間違いを正しながら、少しずつ歩いていく。
だから、行こう。それぞれの未来へ。夢を叶えに。
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