その後
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「そんじゃ、今日はここまでだ。課題ファイル25と26を転送すっから来週までにアップロードしとけよー?」
俺は生徒にそう言うと、巨大パネルモニタの電源を落として、広い教室から出る。
「っあー………肩凝るなおい……」
俺は一度背伸びすると、薄いグリーンのパネル張りの廊下を早足で移動し、最上階にあるカフェテリアに移動する。
カフェテリアの中に入ると、女の子達が一斉に騒ぎだし、俺の方へ向く。
俺は適当に手を振り、一人の女の子の前に座る。
「わりぃ、授業長引いた」
「別に気にしてないよ。……それより、彼氏が教師でモテモテなのは頂けないけど」
目の前の少女ーーーーミザールこと北斗新羅は頬を膨らませながら言う。
「大丈夫だっての。教師の俺に何かできる程、ここの生徒は馬鹿じゃない」
俺は新羅の頭を撫でながら言う。
ここは特殊な学校であり、ここに通う生徒は全て、中学、高校時代にSAOに巻き込まれた元プレイヤー達である。殺人歴のある本格的オレンジプレイヤーこそ、カウンセリングの要有りと言うことで一年以上の治療と経過観察が義務付けられたものの、キリトの様な自衛の為に他のプレイヤーに手をかけた者は少なくないし、盗みや恐喝と行った犯罪行為は記録に残らぬゆえにチェックのしようがない。
俺?俺はマトモだからって許してもらった。それはいいとして。
よって、基本的にアインクラッドでの名前を出すのは忌避されているのだが、何せ顔がSAO時代と殆ど同じだ。アスナや新羅に至っては入学直後に即バレしていた様だし、キリトは旧上層プレイヤーの間では古い通り名を含めてかなりの部分が露見している。
俺に関しては、ダークやロード、もう一人の通り名を含めて全てが露見している。
もっとも、全てが無かった事にするのは土台無理な話なのだ。あの世界での体験は、夢でなく現実であり、その記憶はそれぞれが折り合いを付けて行くしかない。
「それにしても、アスナも無茶するよねぇ……和人君と同時に入学したいからって過酷なリハビリしなくても……」
「まぁ、あいつらはあいつらだからな。好きあってんだし仕方ねぇだろ」
俺は新羅から受け取ったコーヒーを飲みながら言う。
「で、ダークは消えちゃったんだよね………?」
「……ああ」
あの日、ダークは俺の中から姿を消した。ロードの記憶からはダークの記憶だけがすっぽりと消えており、ALOにダイブしてスキル欄を見ても、追加された<滅殺剣>と<神聖剣>だけがそこにあった。
それだけではない。ダークに会ったことのあるプレイヤーの記憶から、ダークの記憶だけが消えている。
覚えているのは俺と、新羅、そして、直接の関わりのある和人と明日奈だけだった。
「ダーク……どこ消えたんだろう……」
「………」
俺はまだ、新羅に本当のことを伝えていない。新羅には、“ダーク
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