≪アインクラッド篇≫
プロローグ リセットの享受
プロローグ 郷愁の日々 その弐
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、クライン。このゲームの中から外部への連絡手段ってGMコール以外になにがある?」
この質問に答えたのはやはりキリトだった。
「いや……なにもないよ。外部にSOSを出すことはできない筈だ……だから運営が対処するか誰かが勝手に俺達のナーヴギアを外すかを待つしかないな……」
状況を整理するたびに、段々と手詰まりな感覚が生まれる。外部からの勝手でしか帰れないのはまさしく、缶詰、と言えるだろう。
「でも、オレ、一人暮らしだぜ。おめぇらは?」
クラインの質問に、キリトが迷っているようなので、先に俺が答える。
「俺は両親と三人で暮らしているけど、今日に限って晩飯の時間はずらしてるから、発見は遅れるだろう、な。……部屋に鍵をつけてるし、もしかしたら明日の朝まで放置かも…」
言っていて悲しくなる。なんで金を払ってまで自分の部屋に鍵をつけたのだろう。テンションに任せて馬鹿なことをしてしまった。
やはり疑問に思ったのかクラインが「自分の部屋に鍵があるだなんて珍しいなぁ」と聞いてくる。それに俺は「今日のためにつけちゃったんだぁ」と答えるしかなかった。
キリトも俺の後に続いてクラインの問いに答える。しかしこうやってゲームでの人と現実の話をすると、どこか背徳的でドキドキする。
「……母親と、妹と三人。だから晩飯の時間になっても降りてこなかったら、強制的にダイブ解除されると思うな」
「おおっ!? き、キリトの妹さんて幾つ?」
突然眼を輝かせ、身を乗り出してクラインをキリトはぐいっと押し返した。俺は妹が幾つなのかには興味は無い。しかしその妹さんがゲーマーならその限りではない……。
「この状況で余裕だなお前。妹、運動部だしゲーム大嫌いだし、俺らみたいな人種とは接点皆無だよ」
ああ、残念。と思ったらキリトがこっちを向いた。どうやら声に出ていたようだ。そんな気がする。俺は気まずさを消すために次の提案をだした。
「まぁ、ここの三人がログアウトできないんだから皆できないと思うけど、一応他の奴にもログアウトできないか聞いてくるよ」
そういって俺はウィンドウを操作する。行きずりとはいえ、もう二人は知らない仲ではない筈だ。
メニューウィンドウの≪フレンド≫の項目、その中にある≪フレンド申請≫に二人の名前を打ち込んで、決定を押す。
なんとも事務的な作業で友達の観念を疑うようなシステムだが、好意を分かりやすく伝える手段として俺は活用している。
たとえ断られようとも、こちらの好意が伝わればそれでいい。ここはゲームだ。向こうも深くは考えないだろう。
「もし、登録してくれるんなら、ログアウトできる奴とかログアウト方法を知っている奴を見つけたらメッセージ飛ばすぜ」
口に出して言うと、MM
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