≪アインクラッド篇≫
プロローグ リセットの享受
プロローグ 郷愁の日々 その弐
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トボタン以外のログアウト方法ってあるかな?」
一人称は『俺』ではなく『あっし』でも良かったかもしれない。語尾に『ゲス』をつけてもいいかもしれない。次の人からはそうしよう。重要なことを思いながらキリトの返事を待つ。
返事を待ちながら、はたと横を見ると若侍――さっきの話ではクライン――が、俺の「ピッツァがぁ」とか言って嘆いている。俺は今晩は晩御飯を食べずにずっとゲームをし続けるつもりだったので問題ないが、あっちは急ぎの用事のようだ。
「ええと……ログアウトするには……」
先程まで微笑すらしていたキリトの表情が僅かに強張る。その表情の変化に俺もほんの僅かな焦りを感じた。
俺はキリト達に話しかける前にログアウトの事について考えていた。しかし思い出されるのは≪ヘルプ≫の≪ログアウト項目≫に書かれている簡素な『メインウィンドウにあるログアウトボタンを押すとログアウトできます』という一文だけだった。
それ以外のログアウト方法は正直まったく知らなかった。聞けばこのキリト、あのβテストに参加していたそうなので(クラインがβの時はどうだったんだよぅ、と情けない声で聞いていた)俺よりは随分詳しいと、そう思ったんだが……。返答は落胆するものだった。
「いや……ないよ。自発的ログアウトをするには、メニューを操作する以外の方法はない」
「んなバカな……ぜってぇ何かあるって!」
するとキリトの後ろからクラインは悲痛な声をあげ、突然大声を出した。
「戻れ! ログアウト! 脱出!!」
少し期待したが、何も起こらなかった。SAOにはそのようなボイスコマンドは実装されていないのだろう。それに言葉の弾みにログアウトと言ってゲームから追い出されたら興ざめそのものだ。考えればありえない可能性だろう。いやもしかしたら……。
「コマンド!ログアウト! コマンド!エスケープ! スラッシュ!ログアウト! スラッシュ!エスケープ!!!」
クラインに負けないぐらいに大きな声で言ってみたがやはりなにも起きない。やっぱりボイスコマンドはない。
「クライン、スバル、無駄だ。マニュアルにも、その手の緊急切断方法は一切載ってなかった」
キリトの言葉にむう、と俺が唸っていると、クラインが声を上げる。その声は、最早ピザ云々程度の焦りではないのだろう悲痛さが込められている。
「でもよ……だって、馬鹿げているだろ! いくらバグったって、自分の部屋に……自分の体に、自分の意思で帰れないなんてよ!」
俺はこの時、クラインの言葉で自力での脱出が不可能なのを悟った。ログアウトボタンもボイスコマンドもセーブ地点もないこのゲームは完全に詰みの状況だ。しかしまだ手段はある。自力での脱出が無理なら外部の手で脱出だ。
「キリト
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