彼と幼馴染と許嫁
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いコダマだったが、春恋の視線と海童が目を背けていることから、ようやく状況を悟る。
「・・・すぐ着替えてくる」
それだけ言うと、コダマは言葉とは違い慌てた様にドアの向こうへ引っ込んでいった。数分後に着替えてきたコダマの顔は、少し赤くなっている。
「オホン・・・取りあえず、お早う」
「お、お早う姫神さん」
「お早う、ございます先輩・・・」
片手で頭を抱えている形で、海童はがっくりと頭を落としていた。多分、何でこんな事も予想できなかったのか、女と同部屋ならこういう事も起きるだろうに、という後悔からかもしれない。
「ふん」
「痛っ!?」
見られたとはいえ、姫神自身の過失や咄嗟に目をそらした事もあり、頭をバシッと叩かれるだけにとどまった。
やがて料理が出来上がり、食卓には次々と料理が並べられ、春恋とイナホも座ったので四人は朝食取る事にした。
「いただきます」
「いただきまーす!」
「頂きます」
「・・・頂きます」
ちゃんと手を合わせてから料理に手を付け始めた一同。命をもらっているのだから、形だけでも礼儀は大切だ。
先ずに物に手に取った海童は、口に運んで咀嚼し・・・自然と口から声が漏れた。
「うまい・・・」
「でしょ? 寮生活のお陰で昔よりも上達したのよ?」
「ハルコ先輩、お料理とっても上手だったんですよ」
「イナホちゃんが手伝ってくれたおかげもあるわ」
「よかったのぉ、愛しの“カッちゃん”に褒めてもらえての」
「ちょ、ちょっと姫神さん!」
和気あいあいと食事を進める一同だが、海堂が一足先に食べ終わってから衝撃の一言を口にする。
「ところで・・・あの時計は四、五十分遅れてんだが、のんびり食ってて大丈夫か?」
「そうじゃのぉ、のんびり食べておる場合では無いな」
「「えっ?」」
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もう既に殆どの生徒が登校し終えた為か、全く人の通っていない通学路。
そんな静かな道を、慌ただしく通学路を掛けて行く影が四つ存在した。
「くっ・・・何故わしまで・・・!」
「副会長である私が同室になったからには・・・遅刻など言語道断! 絶対に許しません!」
「厳しいな、相変わらず・・・」
「急がないと本当に遅刻しちゃいます!」
まず先頭を走る春恋のすぐ後にコダマ、その後ろに海童とイナホが付いてきている。このまま行けば、四人とも遅刻はせずに済みそうだ。
徐々に締まって行く門の前には、学園長の実がハリセンを構えて立っている。遅刻した生徒には、もれなくハリセンによる一撃が下る
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