マクロスF
0764話
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「……何で? グレイスが何か企んでいたとしても、自分からバジュラ本星に出向くなんて真似は……」
「さて、その辺は俺にはちょっと分からない。ただ、遠目から見た限りではバジュラ本星には海も空気もある惑星に見えた。つまり、俺達が移住しても問題無い惑星にな」
「それで、どうするの?」
「ランカを取り戻すという理由もあるが、そんな惑星があるのならゲートを設置してホワイトスターに移動出来るようになるから、俺としても丁度いい。そうなれば、恐らくシェリルの身体に関しても治療の可能性が出て来る」
俺の言葉を聞き、目を驚きで見開くシェリル。
だが、すぐに不思議そうな表情を浮かべて口を開く。
「けどゲートの設置をするとなると、当然アクセルがその惑星に降下する必要があるのよね?」
「そうだな。空間倉庫の中に入っているゲートシステムを使う必要があるし」
「じゃあ、バジュラの本星を攻めるのはフロンティア船団だけでやるの?」
やっぱりこの質問が来たか。ゲートを設置するとなると、当然それを疑問に思うというのは予想していた。そして、質問に対する答えも。
シェリルの言葉に小さく首を振り、そっと抱き寄せて耳元で口を開く。
「明日の午後、俺は先行偵察の名目で出撃してYF-29でバジュラ本星に降下する予定だ。そしてゲートを設置して、すぐにシャドウミラーの軍勢をこのマクロス世界に呼び込む。その後は、内と外からの同時攻撃でバジュラ共を一気に叩く」
「危険よ!」
抱きしめていた俺を引き離すようにして、シェリルがそう叫ぶ。
その瞳に浮かんでいるのは心の底から俺に対する心配のみ。
「大丈夫だよ。忘れたのか? 俺には物理攻撃は通用しないし、何よりも俺自身は宇宙空間でも生身で活動出来るんだ。YF-29でバジュラ本星の近くまで辿り着けさえすれば、機体が破壊されたとしても全く問題は無い。それに、これでも俺は現在S.M.Sのエースパイロットなんだぞ? バジュラが幾ら出てこようとも、俺にしてみれば問題無いさ。だから安心しろ。シェリル、お前の病気は必ず俺が……いや、俺達シャドウミラーが治してみせる」
「あたしの為にアクセルが危険な目に遭うなんて、そんなの……」
シェリルの瞳からこぼれ落ちる涙を片手で拭い、安心させるようにそっと抱きしめる。
「言っただろ? 俺にとってはこの程度危険でも何でも無いって」
「……本当に?」
「ああ」
濡れた瞳でこっちを見てくるシェリルの唇をそっと塞ぐ。
安心させる意味を込めて、俺が決して死なないとその心と体に刻みつける為に。
そのままそっとシェリルを抱きしめ、寝室へとシェリル諸共に影のゲートを使って転移するのだった。
「……ね、アクセル」
「ん? どうした?」
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