後日談
第137話 暗黒の果実
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果実の鎧が頭に落ちて、咲を、戒斗を、装甲する。あっというまに、室井咲はアーマードライダー月花に、駆紋戒斗はアーマードライダーバロンに変身した。
バロンがバナスピアでコウガネへ刺突をくり出した。コウガネは全てを紙一重で躱し、マゼンタ色の大橙丸で受け止めた。
バロンが鍔迫り合いでコウガネを動けなくしている所へ、月花はDFボムを投げた。バロンも承知の上で、コウガネを蹴って離脱した。コウガネ一人の上でDFボムが爆発した。
『やったか?』
『わかんない。中の子、女の子だし、威力弱めに設定したから』
やがて煙が晴れて――コウガネはそこに健在だった。
『うそ…! いくら弱くても、無傷じゃすまない威力なのにっ』
『咲、もう一度だ。最悪、俺ごと爆破しろ。俺はそう簡単には死なない体だからな』
『う、うんっ』
再びバロンがコウガネに、バナスピアを揮って挑んだ。バロンはあらゆる角度からコウガネと鍔迫り合い、コウガネの動きを止めた。そこに月花がDFボムを、今度は高威力に設定して投げつけた。時には月花が前衛に出て、バロンが黄色いソニックブームを地面から生えさせて攻撃した。
しかしそれらの努力は、コウガネの鎧に僅かな傷を与えるに留まった。
――月花とバロンでは、コウガネに決定的なダメージを与えられない。
何十度目かで、月花はそれを認めざるをえなかった。
『この変身でダメだというなら……!』
バロンが両手を力強く広げた。その時、月花は彼が何をしようとしているか悟り、バロンの背中からしがみついた。
『戒斗くん、ダメ!』
『っ、離せ!』
『だって戒斗くん、オーバーロードになる気でしょ!?』
離さなかった。ここで戒斗がロード・バロンに変異すれば確かに、この謎のアーマードライダーに勝てるかもしれない。
だが、もしその場面を、一般人に目撃されでもしたら。
沢芽市民の認識では、アーマードライダー=善、怪物=悪なのだ。戒斗を標的とした魔女狩りが始まってしまう。それだけは絶対に許せない。
『話にならん』
黒紫のアーマードライダーは呆気なく背中を向けた。
『さあ、狩りの始まりと行こう』
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