彼の第一歩
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付けられたらお終いなんだぜ!? それにあいつには何の恨みも無いだろ!?)
(分かっておる・・・分かってはおるのじゃ、だがな・・・)
自分の胸に手を当てたコダマは、どこかさびしそうな顔で呟いた。
(騒ぐのじゃ・・・わしの、この血が・・・どうしても、な)
海童とコダマ、お互いが定位置に着いたのを見計らって、実がマイクを取り、開始の合図を上げる。
『それじゃ、新入生は気張ってな・・・勝負、始め!!』
(しょうがない・・・何とか自己流で戦っていけば――――)
そうやって少しは様になっている構えを取ってコダマをみた海童は・・・驚愕に目を見開いた。
(何だあいつ・・・殺気が・・・殺気・・・殺され・・・殺される!?)
それは、素人である筈の海童にも感じ取れる・・・否、海童にのみ向けられているからこそ感じ取れる、『コロサレル』という事実。
こうなったら恥をさらしても構わない・・・そう思って逃げようにも、竦んで僅かにしか足が動かないのだ。
(何で・・・何で俺が入学早々に・・・殺され・・・)
何も出来ずただ固まるだけの海童。距離が縮まって行く瞬間が、酷くゆっくりに感じられる。目をそ向けたい一心でつぶった。
『何やってる、鼻ったれの若造が』
・・・刹那、彼の頭の中に、威厳と強大さ、そして何処か安心感を感じさせる、老人の声が響いた。
『しょうがねぇ、力の使い方ぐれぇ教えてやるよ。だが、今は絶対にはずせ。初仕様という状況といい、おめぇの力量といい、そんなんじゃ応用はおろか加減なんて出来やしねぇからな』
(は・・・? だ、誰・・・?)
『いいか、死にたくないなら言うとおりにしろ』
もう誰でも構わない。藁にもすがる思いで、海童は自分の中にある声に耳を傾ける。
『まず、おめぇの中に地震の震源・・・衝撃波の根源たる破壊力を生み出せ。体ん中にでっかい力の塊があると想像しろ』
言われたとおりに、漫画などで見てきた衝撃波のイメージや、力の塊のイメージを、自分の中に造り出す。
『次に拳へそれを注ぎこめ。出来るだけ加減しろよ』
自分の体にポンプと管があるイメージで、海童は自分の体の中心から腕へ力を送り込んだ。
・・・・・瞬間、自分の右手に膨大で莫大な力が生まれたのを、確かに海童は感じ取る。
『はっ、まだそんぐれぇか。普通に考えるなら脅威だが、全盛期にゃ全然届かねぇな・・・まあいい、じゃあ最後だ』
ゆっくりと進んでいく時間が段々と加速する様に、まだ遠くにい
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