彼の第一歩
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スを崩すと、勢いよく落下してきた。突然の事態に海童も反応できず、二人は見事に衝突してしまう。
・・・そこで、世にも奇妙なハプニングが起きた。
「ぬ・・・!?」
「むぐっ!?」
何と、二人の唇が重なってしまっていた。少女は受け身が上手かったからか、海童は体が丈夫だったからか気絶してはいなかったが、その所為で余計に気不味くなっている。
「・・・う、あっ!?」
「え?」
何とか唇を放した二人だったが、海童が顔を少し持ち上げると同時に声を上げ、いきなり目を固くつぶって、上に乗った少女をどけようと奮戦している。
何をやっているのかと疑問に思った少女が自分の状態を見て・・・顔を真っ赤にした。
「し、しまっ・・・みたなぁ!?」
そう、体勢と格好的に、海童の視線は自然と少女のスカートの中に向くようになっていたのだ。時間からして見ていたのは数秒とないだろうが、この場合時間は問題では無い。
「み、見てくれおったなお主ぃ・・・このままで済ませると思うなよぉっ・・・!!」
「不可抗力だっ・・・悪気はないっ・・・!」
「問答無・・・よ・・・?」
すると、少女の視線が服を持ち上げて露わになっていた海童の胸元へ行き、次いで驚いたように硬直した。
途端に今までの剣幕が嘘のように静まり返り、胸元をつかんでいた手を放して立ち上がる。
「・・・?」
「わしに何か用があったのではないか? お主」
「あ、ああ・・・体育館の場所を教えてほしいんだが・・・」
いきなりに次ぐいきなりな言動を取られ、海童は敬語も疑問も忘れて素直に話す。女子生徒はすっとある咆哮を指差し、海童の問いに答えた。
「そこを出て道沿いに歩け、そうすれば体育館に付く」
「あ、どうも」
軽くお辞儀をして帽子をかぶり直し、体育館へと続く道を歩き出した海童。そんな彼の背中を見送りながら、女子生徒は静かに呟いた。
「見つけた・・・我が仇敵を・・・」
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無事体育館へ時間内に辿り着いた海童は、幾多の新入生や在校生達に混ざって椅子に座り、天日学園学園長の話を聞いていた。
『皆さん始めまして! 学園長の六条実です。まずはじめに・・・新入生の皆さんご入学おめでとう。挨拶もかねて、本日は当学園について説明したいと思います』
スーツを着た女性が壇上でマイクを前に話をしている。学園長が女だという事に海堂は少し驚いたが、それは一種の偏見だろうとすぐに考えを改め引っ込めた。
これから長く堅苦し
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